このような会食は、参加者にとって非常に価値がありますし、その主催者である僕の「価値」も上がることになります。だからこそ、その後、参加してくださった経営者と個別にお会いすることにもつながり、しっかりとしたご縁に育てていくことができるわけです。

 だから、僕は、会食の場に「賑やかし」のために女性を呼ぶようなことは一切しませんでした(もちろん、女性経営者をお呼びすることはあります)。それでその場が賑やかになったとしてもそういう女性がいると、その場での会話がどうしても“たわいもないバカ話”にしかならず、「今」が楽しいだけで先につながる「資産」には決してならないからです(そもそも「賑やかし」のために女性を呼ぶなどというのは、その女性に対して失礼なことだと思います)

 もちろん、営業マンに、接待の場で、そういう女性を呼ぶことを要求するような方もいらっしゃるのは事実です。しかし、僕は、そういう方とは一切お付き合いをしませんでした。なぜなら、そういうお客様と長期的な信頼関係・人間関係が続くことはありえないからです。

 僕自身、TBS時代に、いわゆる「合コン」で盛り上がったことはありますが、そこで一緒に遊んでいた知人のほとんどは、僕がTBSを辞めた途端に離れていきました。だから、そういう場で、本物の信頼関係がつくられることはないとわかっているのです。

会食はすべて「割り勘」にする

 ちなみに、会食で僕はお酒を一滴も飲みません。

 お酒を飲むと翌日の営業活動に悪影響が出ますから、営業マンになってから、僕はお酒を断っていました。会食へは必ず車で向かうことで、強制的に「お酒を飲まない」ようにしていたのです。そして、「本当はお酒が大好きだけど、明日会うお客様に万全の状態で会いたいから、お酒を飲まないように車を使っている」といった話をすると、僕のお客様に対する姿勢に好感をもってもらえたように思いますし、会食の場で上質な話題が展開される一因にもなったような気がします。

 また、会計はすべて「割り勘」にしていました。

 営業マンが「ご馳走」するのが当たり前という考え方をする人もいますが、僕は、それは間違っていると思っています(昼間の商談でお茶代などは営業マンがもつこともあるかとは思いますが……)。

 そもそも、僕がやっていた会食は、商品を買っていただくためにお客様のご機嫌をとるという意味での「接待」ではないからです。保険を売るために会食をしているのではなく(保険の話などこちらからは一切しません)、僕も含めた参加者全員が一人の人間として「質の高い時間」を過ごすことで、何かしら自分にとってプラスになるものを持ち帰っていただくために会食をしているのです。だから、参加者は全員対等の関係。誰かが「ご馳走」し、誰かが「ご馳走」になるなどというのは不自然だと思うのです。

 そして、そういうマインドでお越しになる参加者は、むしろ「割り勘」ではないことに、不満をもたれるものです。

 おそらく、僕から「ご馳走」になる理由がないにもかかわらず「ご馳走」になるのは、僕に「借り」をつくるような気持ち悪さがあるからではないかと思うのですが、そのようなセンスをもった方とこそ、長期的な信頼関係・人間関係を築くことができると確信しています。