「会わせたい人リスト」を作っておく

 当初は、僕だけでは「社長合コン」をするだけの人的ネットワークがなかったので、このように、別の営業マンと共催する形を取っていましたが、徐々に人的ネットワークが広がってくると、僕ひとりで会食を主催するようになっていきました。

 そのために、僕は、常に「会わせたい人リスト」をつくっています。

 これまでにご縁をいただいた方々のなかで、「このメンバーで集まったら楽しいひとときになる」「この方とこの方をつないだら、おもしろいことが起きそうだ」「この方とこの方はきっと意気投合するだろう」などという観点で、会食メンバーを決めてリスト化しておくのです。

 会食をセッティングするうえで、最もよい時間になる確率が高いのは「共通点」のあるメンバーを集めることです。「二代目社長だけの会」「出身地が同じ人だけの会」「ゴルフが好きな人だけの会」など、共通点のある人々が集まれば、初対面でもすぐに打ち解けてくださいます。そして、打ち解けてくれさえすれば、主催者が無理に盛り上げようとしなくても、自然と会話が弾み、その会食が「よい場所」へとなっていくのです。

 ちなみに、僕は、事前に座席もすべて決めてしまいます。

 年齢、社会的地位、相性などを考慮して、「誰と誰が隣合わせ、誰と誰が真向かいになるといいかな」などと、場が盛り上がりやすいような席順を考えるのです。初対面の人が集まる会では、みんなが席を譲り合って、なかなか席順が決まらないものですが、そういうストレスを排除するうえでも意味があると思います。

「ビジョン」や「悩み」など、
なんでも話せる場所にする

 また、参加者に自己紹介していただくのではなく、僕が一人ひとりについて「他己紹介」するようにしています。

 これが結構重要です。というのは、自己紹介が苦手な方にはストレスにしかなりませんし、自己紹介で場をなごませたり、盛り上げたりするのは難しいので、全員の自己紹介が終わる頃にはなんとなく白けた雰囲気になってしまっていることがあるからです。

 そこで、僕が手短に一人ずつ紹介していくわけですが、これがいいのは、ご自分では口にしにくい「その人の功績」などを伝えることができることです。

 例えば、業績絶好調の経営者が自らそれを口にすると「自慢話」になってしまいますが、僕ならば「昨年、売上を倍増させて、経営者として絶好調の◯◯さんです」と紹介することができます。こうすることで、他の参加者は同席者の「重要情報」を知ることができるので、その後の会話をしやすくなるでしょう。しかも、言われた本人も内心では嬉しいはずです。

「他己紹介」が終わったら、あとは、基本的に自然の流れに任せます。

 全員と知り合いなのは僕だけですから、あまり出しゃばると、会話の中心が僕になってしまいます。それでは、参加者同士が自然と仲良くなるような展開になりにくいので、できるだけ参加者に会話の主導権を握ってもらうようにしたほうがいいのです。

 そして、口数の少ない人がいたら、そちらに水を向けたり、会話にちょっとした空白が生まれたら、新たな話題を振るなど、全員が楽しく過ごせるようにサポートするイメージです。

 また、時に、僕自らが「ビジョン」や「悩み」を自己開示することで、なんでも話しやすい空気を生み出すように心がけています。

 誰でも、大きなビジョンをもって取り組んでいても、人知れず思い悩んでいることはあるもので、それを「安全な場所」で口にして、誰かに受け止めてもらいたいと思っているものです。会食がそんな場になるためには、主催者が自ら「自己開示」する必要があると思うのです。

 そして、参加者の「自己開示」をしっかりと受け止めたうえで、その「ビジョン」を達成するための方法や、「悩み」を前向きに解決する方法を、「自分ごと」のように一生懸命に考えることです。主催者がそういう姿勢を見せれば、他の参加者もきっと同調してくれます。そのとき、初対面の人が集まった場であるにもかかわらず、お互いに支え合う「同志」のような関係性が芽生えるのです。