コロナ禍で消毒やストレス解消ケアへの関心が高まり、アロマ業界の売り上げが急増しています。ところがアロマ関連商品には「偽物」も出回っており、日本はまだ「アロマ後進国」と言わざるを得ません。アロマセラピーは医療分野でも関心が高まっており、今後日本でも、他の先進国並みに普及することが期待されています。(株式会社MIWAIKEHATA代表取締役 池端美和)
コロナに対するアロマの有用性は確認されていないが…
「新型コロナウイルスに効くアロマはありますか?」。これまでに何度か受けた質問です。
私も所属しているAEAJ(公益社団法人日本アロマ環境協会)のサイトでも回答していますが、抗ウイルス作用のあるアロマはいくつかあるものの、コロナウイルスへの有用性が確認されている精油はありません。
(参考リンク:https://www.aromakankyo.or.jp/faq/other/corona/)
それでもコロナ禍では、アロマセラピー関連商品の売り上げが伸びました。アロマセラピー関連商品の企画・製造・販売を行うフレーバーライフによると、2020年1月から6月、アロマディフューザーの売り上げは前年比1049.1%に増加、精油の多くも前年比140%以上で、前年比375%のものもあったということです。
アロマ業界は大きく分けて、フレグランスとアロマセラピー(芳香療法)の二つの領域があります。近年、フレグランス領域は日本人の香りへの意識の高まりから、売り上げを大きく伸ばしています。フレグランス製品に使用されているのは、主に安価で香りの持続力がある合成香料です。
一方、アロマセラピーでは、合成香料は使用せず、精油もしくはエッセンシャルオイルと呼ばれる、植物から抽出した香り成分を使用します。精油の香り成分には抗菌、殺菌などの作用、そして自律神経系や免疫系への作用などがあります。こうした植物に含まれる薬理効果を用い、脳、神経、細胞へと働きかけ、体や精神を健康な状態に保ち、自然治癒力を高めていくことのできる療法がアロマセラピーです。
アロマディフューザーの売り上げが増えたのは、さまざまな心身の不調を感じる人が増えている中、ストレス解消ケアなどに活用する人が増えたからでしょう。