総選挙で低調な対中外交論議
「防衛力強化」だけでいいのか
総選挙がスタートしたものの外交課題はほとんど論戦にはならず、新型コロナウイルス対策や分配重視の経済政策の議論の陰に隠れている。
しかし、中国をどう見るか、どう向き合っていくかは、日本の将来に致命的な重要性を持つ課題だ。
自民党は公約で「中国の急激な軍拡や力を背景にした一方的な現状変更」に対応するとして、防衛費の対GDP比率引き上げの検討などを掲げているが、対中強硬姿勢だけが日本の国益になるとは思えない。
コロナも「第5波」は収束に向かいつつあり、総選挙が終わると、厳しい外交戦が待ち受ける。米国は中国の覇権を阻止することに意を固めているように見受けられ、台湾を巡っては大規模な中国軍機の防空識別圏への侵入で軍事的緊張も高まっている。
骨太な対中戦略作りは総選挙後の新政権の重要な課題だ。