(1)携帯電話よりも、スマホよりも画面が大きい。だから字が大きくて見やすく、文字も入力しやすい
(2)パソコンよりも操作が簡単。指先でタップするだけで大抵のことが可能であり、キーボード入力が不要
(3)電源を入れた後の起動がパソコンよりもはるかに速い。使いたい時に待たされることなく、すぐ使用できる
(4)一般にノートパソコンより薄く、軽く、持ち運びが楽
(5)購入価格もノートパソコンよりも一般に安い。今後は、スマホよりも安くなる可能性も大きい
これらのメリットから、近い将来、現状のパソコンで可能なことがタブレットでもできるようになれば、既存のパソコン利用者のかなりの割合は、タブレット利用者になっていくと思う。
一方、こうしたメリットのため、これまであまりパソコンに縁のなかった人やパソコン利用を躊躇していた人もタブレット利用者になる可能性が大きくなる。特に、携帯電話は使ってもパソコンは使わない女性や、IT機器の使用に無縁だったシニアがその対象となる。
余談だが、アメリカでは現時点(2012年8月)で、すでにノートパソコンよりもタブレットの出荷台数が大きくなっている。IT動向については、アメリカで起きたほとんどの現象が、時間遅れで日本でも起こるのがこれまでの通例だ。
IT弱者の利用を阻む「3つの壁」
ただし、IT機器を利用しない人には、次に挙げる「利用しない3つの壁」があり、今後のタブレットの普及においては、これらのクリアが不可欠だ。
第1の壁:タブレットという機器の存在を知らない
第2の壁:使ってみたいが、費用が高いので自分には使えないと思っている
第3の壁:使う必要性を感じていない。自分には用がないと思っている
特に第3の壁については、絶対に使いたくなる「キラーサービス」の開発が必要だ。そのなかで興味深いのは、大阪の日本おつかいサービスが始めた「おつかい倶楽部」というネットスーパー事業である。
おつかい倶楽部は、保証金5000円でアップルのiPadを無料でレンタルするというものだ。自宅に無線LANの環境が必要だが、これがない人には月150円でルーターも貸し出す。
この仕組みが優れているのは、何と言ってもiPadを無料でレンタルする点だ。現在のタブレットブームは、アップルの製品、iPadのおかげと言ってよいだろう。画面が大きく、見やすく、美しく、指で画面をタップするだけで利用できるiPadは、ITが苦手なシニアにもやさしいIT機器と言えよう。
ただし、無料でレンタルできるのには理由がある。指定のネットスーパー(「さんきん」という食品スーパー)で、月1万円以上購入することが必要だ。月1万円以上購入という条件は、2人以上の世帯の場合、ひと月の食費を想定すればそれほど高額ではないだろう。ただし、ひとり暮らしの人にとっては、少し敷居が高いかもしれない。
このようにいくつかのデメリットがあるとはいえ、歩行に難があるなど、何らかの理由で買い物が困難なシニアにとっては利便性の高い不可欠なサービスとなるだろう。こうしたシニアの「不(不安・不満・不便)」を解消する用途開発こそが、タブレットのさらなる普及を後押しするだろう。
(次回は、12月10日に掲載します)
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