タブレットは、スマホよりも「衝動買い」が起きやすい

 なぜ、このような差が出るのだろうか。私は、タブレットはスマホに比べて画面が大きく、美しく見えるために、いわゆる「衝動買い」が起きやすいのではないかと思う。実店舗での買い物のシーンでは、店に来るまではまったく買う予定がなかったのに、店先で商品を見て「これ、いいな」と思って買ってしまうことはよくある。

タブレットというのは、操作の容易さと画面の美しさから、商品の魅力をスマホよりもリアルに表現しやすい。そのことが、ネットショッピングの世界にも衝動買いを起こさせるのだ。

先の調査結果には、もう1つ興味深いものがある。タブレット利用者は、最も楽しい機器も、最も気が利いた機器もタブレットだと思っている。また、機器に対する満足度はスマホよりも高い。つまり一度タブレットを利用すると、タブレットを最も気に入る人が多いのだ。

まだ機会は少ないが、シニア向けにタブレット利用講座を開催すると、その操作の容易さと画面の美しさから利便性を体感して、講座終了後にタブレットを購入するシニアは多い。シニアには一度利便性を体感して納得してから購入する人が多いからだ。

現時点では、まだ値段がちょっと高めで、一部のモノ好きが使っているというイメージが強い。だが、タブレットの値段は2年以内に1万~2万円くらいになるだろう。あとは通信料がさらに下がれば、間違いなくシニアにも利用者が増えるだろう。

先に、シニアのネット利用率が高まっていくのは時間の問題だとお話しした。これを考慮して時間軸の少し先を見ると、近い将来の60歳以上の人にも、現状の60歳未満の人と同じような消費動向が出てくる可能性が十分ある。

しかも、若い人よりも身体機能が衰えていること、健康状態が悪化しやすいことから、むしろ利用頻度は上がると考えられる。そういう意味では、数年後にはシニアにとってもネットが現状の店舗中心の小売りチャネルに匹敵するほどの販売チャネルになる可能性は十分にある。

だから、商品提供側は、シニア消費者がこうしたスマホやタブレットを使って買い物をする場合に、自社のネットショップが使い勝手のいいものになっているかどうかに細心の注意を払う必要がある。

主戦場は、スマホからタブレットへ

 2012年8月からシニアをターゲットにしたスマホ「らくらくスマートフォン」が発売された。しかし私は、シニアにはスマホよりタブレットのほうが有用と考えている。その理由は、従来のIT機器が抱えていた使いにくさを次のとおり解消しているからだ。