②副腎(ふくじん)ホルモン
2つ目のホルモンは「副腎ホルモン(コルチゾール)」です。
副腎とは、腎臓の横に備えつけられた申し訳程度の大きさの臓器です。そこから出る副腎ホルモンは、血圧や心臓の機能を維持するなど、実は人間の体にとって非常に重要な役割を果たしています。
橋本病と同じく、自己抗体が副腎を攻撃することで「副腎不全」という状態になります。副腎ホルモンの分泌量が減ることで、だるさ、食欲の低下、脱毛といったうつ病のような症状が出現します。
複合的な要因で「仕事ができない」コンディションにまで追い込まれることもあります。そして、「副腎不全の4人に1人が仕事を退職していた」という論文も存在しています(※1)
要するに、「うつ病かもしれない」と思って会社に来られなくなってしまった人の中にはこの副腎不全が隠れていた可能性もあるのです。
診断においては、血液検査で「コルチゾール」という副腎のステロイドホルモンの数値を測定します。もし低ければ副腎不全の可能性が挙がってきます。
これに関連して、「副腎疲労」という言葉があります。しばしばメディア等でとり上げられますが、実は正確な医学用語ではありません。つまり「副腎疲労の治療」は存在しません(※2)
もし症状があり「副腎不全について話を聞きたい」と思っても、「副腎疲労の治療は~」といった表現をするクリニックにかかるのは極力控えたほうがよいでしょう。