スポーツ・ベッティングは
スポーツ振興の救世主となるか
「スポーツ・ベッティングは2018年にアメリカで合法化され、すでに23州で行われています。3年後にはほとんどの州で合法化されるとみられています。売り上げは年間数兆円。日本でもスポーツ・ベッティングを導入すれば年間売り上げが7兆円になるだろうと試算されています。この分配金で、プロ・スポーツはもちろん、スポーツ振興の財源が潤沢に確保できますよ」
刺激的な提言をするのはミクシィ(mixi)の木村弘毅代表取締役社長だ。
スポーツ・ベッティング、つまり賭博と聞いたときには抵抗感を覚えた。特に、野球界は歴史的にも八百長問題で暗い経験をしている。サッカーくじの対象を野球にも広げようと提言があった際にも、プロ野球界は門前払い同様にこれを拒み、ほとんど議論にならなかった。
スポーツ振興の財源を賭博に依存するなんて、日本はなんと文化的に貧しい国なのか、と訴えたい気持ちも強いが、現実的にスポーツ財源は乏しい。東京オリンピック・パラリンピックが終わり、選手強化費の大幅減額が既定事実となっている。今後、赤字負担をどうするか、新設した競技施設の運営赤字が年間100億円規模になるとの試算もあり、スポーツ財源の確保は緊急的な課題だ。しかし、確たる解決策はほとんど示されていない。
スポーツくじのtotoは大切な財源だが、年間売り上げが約1000億円。スポーツ界に還元される費用は年間100億円程度でまったく不十分だ。
「7兆円の売り上げがあれば、賭けの対象となるプロ・スポーツには売り上げの一部が還元されますから、安定した運営が可能になります」(ミクシィ木村社長)
確かに、売り上げ7兆円と想定し、仮にその25%がプロ・リーグやスポーツ振興費に充当された場合、年間約1兆8000億円もの財源となる。これまで日本のスポーツ界が手にしたことのない予算が、もたらされる。この恩恵は、精神論だけで門前払いできるものでもないだろう。