エクセルマクロの挫折しない勉強法や仕事で使いこなすコツを徹底解説!
講師の寺澤さんはこれまでの20年間マクロを使って様々な業務を効率化させるなど、数多くの社内表彰を受けてきました。例えば、数十万行の元データから分析用データを毎週作成する作業。人の手だと1週間かけても終わらない作業ですが、マクロを使うと30分程で完成してしまいます。さらに自ら社内講座も主催、全くマクロを触ったことがない数百人を指導し、満足度98%と人気を博しています。近著『4時間のエクセル仕事は20秒で終わる』では、そのエッセンスを余すところなく紹介しています。本連載では、エクセルマクロを仕事で使うための本当に必要な知識だけを、できるだけわかりやすく説明していきます。好評連載のバックナンバーはこちらから。
つらいのに、評価されないのがエクセル仕事
「売上確認、進捗チェック、見積書作成、商品別傾向分析、レポート作成……。毎日押し寄せるエクセル仕事で他の作業をする時間がない! 今日もまた残業だ……」。
このように、日々エクセル仕事に追われている人は多いのではないでしょうか。以前、僕が働いていた会社の同僚も、毎日4~5時間はこうしたエクセルを使った作業に時間を取られていました。
1日に4時間の作業×20稼働日だとすると、月80時間。毎月こんなに時間をかけてエクセルと苦闘していたのです。仕事を進めるにあたって、エクセルでの作業は避けては通れません。でも、何十時間もかかる仕事を、たったの数秒で終わらせられるなら、その方が絶対に良いはず。
今の世の中、長時間残業して真面目にコツコツと手作業をする人が報われる時代ではありません。業務時間をできるだけ短縮するために、仕組みを作り上げられる人。それによって空いた時間を、新しい仕事に回してパフォーマンスを上げる人が重宝されるのです。
エクセル仕事は「当たり前」ではない
僕はその彼の仕事をエクセルマクロによって劇的に効率化した経験があります。まず、彼の作業内容を聞きました。そして、マクロについて教えつつ、作業をボタン一つで終わらせるマクロを作り上げたのです。これをはじめる前、僕は彼にこう質問しました。
「もし今やっている4時間分の仕事が一気になくなったら、空いた時間に何をして会社に貢献する?」
「え……。」
少し意地悪な質問でしたが、答えられないのも無理はありません。彼にとっては毎日4時間エクセル仕事をするのが当たり前で、その前提の元にスケジュールを組み立てていたわけですから。僕が質問するまで「もし、エクセル仕事がなくなったら」と考えたことがなかったのです。
結果として、彼が社内業務に費やす時間は大幅に減りました。それを使って、新規案件の開発をして売上を伸ばしたり、部下と同行する時間を取れるようになりました。同じように、もし皆さんの仕事が効率化されたら、何ができるでしょうか?
単なる業務改善ではなく、仕組みから変える
また、彼とまったく同じ仕事をしている人が、会社には何十人もいました。仮に50人だとしたら、このエクセルマクロを作ったおかげで、全体では月4000時間も削減できたことになります。
これが、仕組みを変えて業務改善をするということなのです。
エクセルマクロを使って業務改善ができる仕事は、まだまだ多くの企業に存在しています。ぜひ一度ご自身の業務も改善できないか、見直してみてください。
エクセル仕事の仕組み化なら、マクロが最適
会社全体で仕組みを改善しようとすると、新規システムの導入などを思い浮かべる人も多いでしょう。しかし、これには長い期間がかかり、コストも膨大です。個人のパソコンにソフトをインストールするのとはわけが違い、簡単に物事は進みません。さらに、そもそもコストに見合った費用対効果が明示できなければ、会社が動いてくれることはありません。
一方、エクセルマクロであれば業務を担当している個人でもすぐに業務を効率化できます。マクロはエクセルに付随している機能なので、追加のコストもかかりません。上手く改善できたら、それを上司に報告して会社全体に展開することだって可能です。このように、エクセルマクロは努力に対するコストパフォーマンスが非常に高いのです。
また、僕の20年以上の経験からすると、マクロでできる全ての機能のうちの1割を学べば、会社の業務の9割はこなせます。つまり、いま手作業でやっていることは、ほぼエクセルマクロで自動化できます。もしエクセル仕事によって苦しんでいるなら、ぜひ自身での業務効率化にチャレンジしてみてください。
今まで数時間かかっていたエクセル仕事がボタン1つ押すだけで終わるようになると、本当に感動しますよ。
寺澤伸洋(てらさわ・のぶひろ)
1976年、大阪府生まれ。灘高校、東京大学経済学部卒業後、日系メーカーで17年間勤務。経理や営業、マーケティング、経営企画などに携わり、独学で覚えたエクセルマクロを用いて様々な分析や業務改革を行う。2017年、GAFAの日本法人のうちの1社へシニアマネージャー(部長)として転職。これまでエクセルマクロを用いた業務改善などで数多くの社内表彰を受けている。手作業では不可能なほど大量のデータを、短時間で分析しやすく加工したことが評価され、社内エクセルマクロ講習会の講師として延べ200人以上に講座を実施。エクセルマクロについて1から10まで教える詰め込み型の学習ではなく、仕事に必要な部分だけを効率的に学べる講座として満足度98%の高い評価を受けている。