「日本で働くの?やめた方がいいよ」という未来

 先ほども申し上げたように、どんな美辞麗句を並べ立てても、日本における「外国人労働者」は100年前から変わっておらず、「日本人の嫌がる仕事をあてがい、日本人よりも安くコキ使う」という発想が根底にある。つまり、これから拡大しようという外国人労働者はほぼ間違いなく、「日本人の劣悪な賃金・労働環境」よりさらに酷い目にあうことが、ほぼ確定しているのだ。

 日本人だったら耐えれないような賃金でコキ使われ、日本人なら労基に駆け込むような時間外労働を強いられる、そして日本人ならばされないような暴言も吐かれる。

 実際、すでにそれをうかがわせるような報告がいくつも上がっている。例えば、20年10月、群馬県内の農業法人で働いていたスリランカ人女性が、雇い主から常習的に暴行を受けていたと告発。農業法人の社長の息子から怒鳴りつけられた音声データが、群馬県庁で開かれた記者会見の場で公開された。

「嫌だったらスリランカに帰れ」
「いらねえよ、てめえなんか」

 スリランカの女性は会見で「優しい安全な国というイメージが、暴力を受け、日本ってこういう国なのかと思うようになってしまった」(上毛新聞 20年10月17日)と述べている。このような問題は他にも多く発生している。

「外国人労働者拡大」を進めるということは、それと比例してこういうトラブルも増えていくということだ。最近では中国のテニス選手の不倫トラブルが世界中に知れ渡ったように、ネットを介せば、あっという間に世界へ広まっていく。

 10年もすれば、ベトナムや中国の若者たちの間で、「日本で働くの?やめた方がいいよ、給料安いくせにブラック企業ばっかだから」なんて会話が当たり前になってしまうかもしれないのだ。実際、経済発展の著しい東南アジア諸国も賃金が上がっていて、いずれ日本など追い抜かされてしまう、と言われている。

 このような未来を避けるにはやるべきことはひとつしかない。そう、「日本人の劣悪な賃金・労働環境」を改善するのだ。