圧迫面接は時代遅れになっているものの、必要なケースも

 現在、この圧迫面接は日本では以前と比べればかなり下火になってきたようです。転職志望者の間でその企業に対する悪評が広まるというデメリットが大きいという理由もそのひとつです。また「圧迫面接というものが存在する」ということを転職志望者が知ることになり、対策マニュアルまで作られるようになったというのもすたれた別の理由です。

 さらに圧迫面接の使い方を間違える企業が、問題になったこともあります。

 採用プロセスで圧迫を与えることがはやっているという点だけを切り取って、中途ではなく新卒採用のプログラムで、面接官が自己流で圧迫面接をするような例が典型です。私からみればビジネスパーソンとしての場数が少ない学生に、圧迫下で冷静でいられるかどうかを評価することにあまり意味があるとは思えません。そもそも態度の悪い面接官が圧迫面接という言葉を、自分を正当化するために使ったりする例も出てきて問題になったりもしました。

 要するに、20年前と比べると圧迫面接はいろいろな観点からやや時代遅れになってきているのです。

 とはいえ、入社後の実際の職場では、立場が優位にある取引相手からの圧力を冷静にいなしていく能力が必要とされるケースは少なからずあります。私見ですが、特に新規事業で役所や偉い大学の先生たちを巻き込んで社会常識を変えていくような局面では、圧迫への対抗力は重要です。

 20年前に大企業がよくやっていたような圧迫面接は、今や場合によってはパワハラとして裁判所に提訴される可能性があるという時代です。そのため、企業側の対応も進化していて、法律的にはパワハラにならない範囲内での圧迫を試すなどといったことは行われている場合もあります。