もしも将来、自分の子どもが「就職先のことがいまいちわからない」と不安を抱えていたら、その主因は企業側とのコミュニケーション不足と思われます。その際は、「不安なことがあったら、会社に相談してみたら?」「実際に働く社員に会わせてもらったら?」などとアドバイスしてみてください。オンラインが当たり前になったからこそ、学生側からも率先して対話の機会を求め、相互理解を深める姿勢が大切です。
オンラインが当たり前の今
保護者がサポートできること
以前からの動きではありますが、就職活動でオンラインツールを活用する学生が増えています。特に、SNSや動画配信を活用する学生は、年々増加傾向にあります。また、企業側も認知形成・広報の手段としてオンラインの活用を進めています。
たとえばリクルートで「卒業後の進路を考える上で最も影響を与えたもの」を調査しました。22年卒と21年卒を比較したものがあります。最も伸びたのは「親」ですが、次点でソーシャルメディアが2.7ポイント増加しています。
実際「LINEのオープンチャットで企業とやり取りしている」「Twitterで情報収集している」という学生は多く、以前のような「会って話して情報収集し、企業理解を深める」という就職活動から、スマホで気軽に情報収集・情報交換を行う就職活動へと、スタイルが大きく変化しています。保護者世代からすれば、隔世の感が強いのではないでしょうか。
23年卒業の就活生においては、これから本格的な情報収集が始まります。「うちの子は、いつもスマホを触ってごろごろしているだけで、全然就活していない」と不安に思われるかもしれませんが、実は情報収集や企業研究をしている最中かもしれませんし、会社説明会に参加している可能性もあります。スマホばかり見ていることに過度に反応せず、今の就職活動スタイルを理解し温かく見守ってあげてほしいですね。
そして、ご自宅での通信環境の重要性も高まっています。子どもが思う存分力を発揮できるよう、負担のない範囲で通信環境を整備するなどサポートもできるといいでしょう。
(株式会社リクルート 就職みらい研究所 所長 増本 全)