「今の会社で働き続けていいのかな?」「でも、転職するのは怖いな……」。働き方が大きく変わるなか、そんな悩みを抱える人は多いだろう。高卒から、30歳で年収1000万円超という驚きの経歴をもつ山下良輔さんは、そんな「転職迷子」たちから圧倒的な支持を得ている。山下さんは12月に出版した初の著書『転職が僕らを助けてくれる――新卒で入れなかったあの会社に入社する方法』で、自らの転職経験を全て公開している。
その戦略は「外資系やコンサル業界は、学歴エリートでなくても入れる」「職歴に一貫性はなくてもいい」など、これまでの「転職の常識」を塗り替えるものばかりだ。どうしたら人生を変える転職ができるのか、どうしたらいい会社選びができるのか。この連載では本書より一部を特別に公開する。

「優秀なのにキャリアアップできない人」がやりがちなミスPhoto:Adobe Stock

「未経験の職種・業界によく受かりましたね。どうやってPRしたの?」

 これは僕のキャリアを見た人たちから、一番よく聞かれることです。

 巷の転職本には、「職務経歴書をつくるときは、まずは自分のキャリアの棚卸しをしよう」とのアドバイスが書いてあります。しかしよほどのエリートでない限り、残念ながら「棚卸ししただけで受かる」可能性は低いと思ったほうがいいです。未経験の業界であればなおさらです。今持っている武器を並べてみたところで、そのままでは、次の転職に生かせないことが多いのです。

「えっ、じゃあもうあきらめるしかないの?」と思ったかもしれませんが、それは間違いです。棚卸ししたときは全くつながりのないように見えたスキル・経験も、見方を変えると武器になることが多いのです。そのために必要なのが、「ひも付け」というプロセスです。僕が自動車業界からコンサルティング業界に受かったときには、このテクニックを実践しました。

 具体的に説明します。

 27歳の僕はスバルという自動車メーカーで、「自動車の先行開発」に携わっていました。そして、コンサルティング業界への転職を希望していました。両者の「業務概要」を並べてみると、次のようになります。残念ながら、共通点は見つかりません。

〈自動車メーカー〉
・自動車開発エンジニア
・車種のフルモデルチェンジにかかわる開発、設計評価業務
〈コンサルティング・ファーム〉
・経営コンサルティング
・クライアントの経営改善、変革支援

 この段階で、僕がいくら情熱を注いで職務経歴書をつくっても、「で、なぜ君がコンサルティング業界に?」と思われるのがオチです。

 そこで僕がやったのが、仕事内容を細かく分解する「詳細化」の作業。「自動車開発エンジニア」とひと言でまとめてしまっていた内容にぐっとフォーカスして、必要なスキルを書き出しました。

〈自動車メーカー〉
・自動車製造の理解
・機械設計(3D CAD)
・プロジェクト管理
・社内外コミュニケーション
・競合他社分析
・市場動向調査
・製品原価分析

 次に、コンサルティング・ファームの業務の詳細化を行います。こちらは経験したことがないので、前述の「求人票100本ノック」をしたり、ネットで「コンサル 業務内容」と検索したり、あるいは業界について書いてあるロングセラーの本を読みあさったりしました。すると、「経営コンサルティング」のスキル(一部)は、次のように分解できるとわかってきました。

〈コンサルティング・ファーム〉
・経営分析
・プレゼンテーションスキル
・インタビューテクニック
・プロジェクト管理
・社内外コミュニケーション
・競合他社分析
・市場動向調査

 こうして詳細化することで、最初は全く関係ないように見えた「自動車業界」の仕事と「コンサルティング業界」の仕事との共通点が見えてきました。

 実際、僕が経験してきた自動車の先行開発は大きな予算が動く大型プロジェクトです。3~5年、あるいはそれ以上の長期計画で、開発を進めます。下請けや関連会社を含め、関係者は何百~何千人単位に及び、高いコミュニケーションスキルも要求されます。予算規模の大きな計画にズレが生じないようにする調整能力も欠かせません。加えて、市場や競合他社の分析もしないといけません。

 生かせる部分はたくさんあったのに、僕自身がそれに気づいておらず「未経験だ」と思い込んでいたのです。

 ここまで来たら、あとはやりたい仕事に生かせる部分を強調しながら、職務経歴書の「業務概要」「自己PR」の欄に書いていきます。

※この記事は『転職が僕らを助けてくれる――新卒で入れなかったあの会社に入社する方法』からの抜粋です。