他人に怒ることで「私は大丈夫」と思いたがる
こんなふうに燃え尽き症候群はけっこう身近にあったりします。仕事で一生懸命にがんばっていても、「上司がちっとも認めてくれない」とか「周りから邪魔をされて思うように成果が出せない」という状況が続いてしまうと、「あの上司、本当にムカつく!」と怒って上司の顔を見るのも嫌な気分になってしまう。
これは、他人に対して怒りを感じることで、「自分の不安」を見ないようにしている、つまり、「大丈夫じゃないのに、大丈夫なふりをしている」状態なんです。
冒頭の院長の話に戻りますが、あの院長の病院で、医師たちがおたがいの悪口を言い合っていたのは、自分たちは燃え尽きているのにもかかわらず、「私は大丈夫だが、あいつがおかしい」と「自分自身は大丈夫なふり」をしている状態です。
人は他人に怒っていれば、「自分自身は大丈夫」と思い込むことができます。
本当は精神的にたくさんダメージを受けていて、「これ以上無理することはできない」という状態だからこそ、「大丈夫なふり」をする必要があるわけです。
でも、大丈夫なふりをすればするほど、エネルギーをすべて使い果たしてしまって、「もうエネルギーが残っていない」と燃え尽きて、無気力状態になってしまいます。
「他人基準」になると燃え尽きやすい
燃え尽き症候群にかかるケースは、「目に見える成果が出ない」のが1つのポイントなのですが、この「目に見える成果」の基準が、「他人」になっていると燃え尽きてしまいやすいです。
SNSで「いいね」がつかないとか、「フォロワー」などが増えない、と言っていると「目に見える成果」がないから燃え尽きやすいし、さらに「他の人はたくさん『いいね』をもらえているのに」と他人と比較してしまうと、ちょっと「いいね」がついても、「成果」と感じられなくなってしまって、あっという間に燃え尽きてしまう。
上司や同僚、そして他人が評価する数字などを成果の基準とするのではなくて、自分自身が「よくやっている」と評価してあげれば、無気力状態になることはありません。