マンションは永住しない方がいい

日下部 新築マンションはしばらく高値が続きそうですね。一方で、中古マンションはシニアの方が所有していたものが大量に出てきて、何かすごく二極化しそうです。地方に限らず、東京都内でも。

牧野 そうですね。この現象はすでに出ていて、売る側もマーケットは完全に二極化していると見切っていて、富裕層同士のマーケットとなっています。その中に、先ほど日下部さんがおっしゃった外国人の買いが入ってくるというのは好都合なんです。冷徹に不動産投資ということを考えると、様々な属性の人達がマーケットの中で遊んでくれるという状況は、とてもハッピーなんです。暮らしている方にとっては、いろいろな問題があるかもしれませんが、投資家にとってはベリーベリーハッピーなんですよ。

日下部 結局、資産価値と居住価値はまったく別物ということですよね。投資家や富裕層からみる資産価値は活性化しているけど、居住価値を求めている人は手に入れられなくなってきている。

牧野 大きな社会問題ですよね。新築マンションマーケットは一般層を相手にしていないし、できないんですよ。だからそこに一般の人が期待してはダメなんです。とりわけ首都圏はマンションだけでなく、オフィスや他の不動産もそうなのですが、このマーケットは一般素人さんお断りになっています。

日下部 そうすると今、一般的な年収の方が買って失敗しそうなのは、ちょっと立地が悪いきれいなリノベーション物件とかですかね。

牧野 そうですね。ただ、気に入っていたらいいですよ。自分が暮らすための自宅の購入は必ずしも経済合理性だけではないので、成功や失敗と断言するのを僕は避けるようにしています。とはいえ、住宅は非常に大きな出費ですから、ライフプランをつくる上での資産性を気にするのは誰しも同じだと思うので、日下部さんの言うところは的を射ています。

日下部 投資を視野に住居を選ぶ半投半住というのも流行っていそうですよね。都心の便利なタワーマンションなどにパッと住んで、ちょっと高く売って、またどこかへ、みたいな。

牧野 僕は逆に、そういう考えでいいと思っています。マンションって永住はしない方がいいですよ。自分のライフプランに合わせて、賃貸も含めて、どんどん使い分けていく。もっというと、最近は二拠点で生活する人も増えてきています。

 空家が全国におよそ850万戸もあって社会問題になっていますが、ひとつの世帯がひとつの住戸を持つという時代ではなくて、複数の住戸を渡り歩く。そんな考え方の人が増えてくると、不動産マーケットって逆に活気づくんじゃないかな。家を使いこなすって言うんでしょうか、住みこなす。

 たとえば、「マンションが4戸あるんだけど、そのうちの1戸は自分が住んでいて、残りの3戸は運用しています」とか。こういうのが割と成功パターンじゃないでしょうか。自宅を買い替えていきながら、投資も併せてやっていく。ライフプランとしては面白いのかな、なんて思っています。