不動産投資家は、3年から5年の期間で売却を考えている

表参道・築40年のフルリノベーション極小マンションと葛飾区の築浅タワーマンション、買うならどっち?日下部 理絵(くさかべ・りえ)
住宅ジャーナリスト、マンショントレンド評論家
第1回マンション管理士・管理業務主任者試験に合格。不動産総合コンサルタント事務所「オフィス・日下部」代表。管理組合の相談や顧問業務、数多くの調査から既存マンションの実態に精通する。また、新築マンション情報など、マンショントレンドにも見識が深い。各種メディア、講演会・セミナーで活躍中。主な著書に、『マイホームは価値ある中古マンションを買いなさい!』(ダイヤモンド社)、『「負動産」マンションを「富動産」に変えるプロ技』(小学館)、『マンション管理・修繕・建替え大全 2021』(朝日新聞出版)ほか多数。

日下部 前々回にも話題にした『晴海フラッグ』(東京都中央区)のことを私は「未来型都市団地」って勝手に呼んでいるのですが、あそことかもすごいことになりそうですね。投資家だと貸すと思うので、賃貸の人も結構多くて…。

牧野 ごちゃ混ぜってことで。ただ、賃貸で一定の運用利回りを出そうと思うと、テレワークやリモートワークが進んでくるという見込みを入れたとしても、賃貸需要としてはあんまり強くなさそうですね。

日下部 それはあれですか、部屋が広すぎる、戸数が多すぎるってことですか?

牧野 そうです。戸数が多いのと面積が広いというのは、平米単価当たりの賃料が下るので投資家としてはあまり嬉しくない。

日下部 あと、駅から遠いという問題点もありますが、TX(つくばエクスプレス)が本当に延びそうで行政も動いてきているので、この辺りの要素はどうでしょう。千葉県流山市の『流山おおたかの森』の盛り上がりは驚きましたが、これにはTXの開通が大きく影響しているでしょうしね。

牧野 今、TX沿線が盛り上がっているのは事実ですが、TXの開通は当初の完成予定よりも十数年延びたんですよね。鉄道計画ほどいい加減なものはなくて、交通計画というのは、僕は不動産投資の中にはあんまり良いファクターにはならないと考えています。

 不動産投資家は、3年から5年でエグジット(売却)しています。コロナのようなことが起こったら困るというところでプラス2年を加えているのですが、「向こう7年以内にケリをつけようぜ」なんてやっているのが不動産ファンドの世界なんです。そう考えると、7年の間に新しい路線が開通するかというと、まあできないですよね…。

日下部 そうでしょうね、最低10年はかかると思います。

牧野 日本がものすごく経済成長していて人口も伸びるというなら、長く持っているのも賢いのですが、今はなかなかそういうシナリオが組めないじゃないですか。そうすると「長く持っていて、結果よかったね」という昭和・平成型の不動産の持ち方は流行らないと思います。「3年から5年できっちりとエグジットしましょうね」と、純粋投資でやる方はそういうタームで考えるのがお勧めだと思います。

日下部 悩ましいですね。今から5~7年前にどこが話題になったかと思い返せば、『勝どき ザ・タワー』(東京都中央区)とかですよね。あれを買った人は多分みんな得したと思うんですよ。

牧野 煽るわけじゃないですけど、『勝どき ザ・タワー』を持っている方は今、売り時ですよ。