10年後、そのマンションを買う人がどれくらいいるのか?

表参道・築40年のフルリノベーション極小マンションと葛飾区の築浅タワーマンション、買うならどっち?牧野知弘(まきの・ともひろ)
東京大学経済学部卒。ボストンコンサルティンググループなどを経て三井不動産に勤務。J-REIT(不動産投資信託)執行役員、運用会社代表取締役を経て独立。現在はオラガ総研株式会社代表取締役としてホテルなどの不動産プロデュース業を展開。また全国渡り鳥生活倶楽部株式会社を設立。代表取締役を兼務。講演活動に加え多数の著書を執筆している。祥伝社新書に『なぜ、町の不動産屋はつぶれないのか』『空き家問題』『不動産で知る日本のこれから』『不動産激変』『ここまで変わる! 家の買い方 街の選び方』などがある。

牧野 日下部さんと多少違うのは、僕は不動産投資家の目線がけっこう強いというところですね。僕が興味を持っているのは、10年後にこの物件を買う層がどれくらいいるか。10年後、買い手のプロフィールがどう変わって、人口はどう変化するのか、というところです。

 たとえば、日本がドイツのように移民を大量に受け入れると仮定しましょう。一都三県が移民の方でいっぱいになりました、と。そこで、移民の方達が頑張れば、新しい顧客が生まれるんですね。政策の舵切りが行われると、投資家目線から言うと「結構面白いかもしれないな」と思うわけです。

日下部 そうするとやっぱり、世界的に有名な銀座や青山といったアドレスへも行くのでしょうか?

牧野 やってくる移民の階層によりますが、あり得ますね。たとえば、カナダのバンクーバーの有名なコンドミニアムを所有しているのは、アメリカ人ではなく中国人が多いです。中国、香港、韓国、あとシンガポールの方達が持っていますね。

日下部 そうすると10年後の日本のいいマンションは、日本人シニア富裕層と外国人投資家が占めるという感じになる可能性も考えられるということですよね。

牧野 資産の価値だとか、マーケットバリューを考えるときに、そういった変数をどれだけ見込んでいくかっていうのが不動産投資の世界なので、そのシナリオはひとつアリだと思います。