「今の会社で働き続けていいのかな?」「でも、転職するのは怖いな……」。働き方が大きく変わるなか、悩みを抱える人は多いだろう。高卒から、30歳で年収1000万円超という驚きの経歴をもつ山下良輔さんは、そうした「転職迷子」たちから圧倒的な支持を得ている。山下さんは12月に出版した初の著書『転職が僕らを助けてくれる――新卒で入れなかったあの会社に入社する方法』で、自らの転職経験を全て公開している。
その戦略は「外資系やコンサル業界は、学歴エリートでなくても入れる」「職歴に一貫性はなくてもいい」など、これまでの「転職の常識」を塗り替えるものばかりだ。どうしたら人生を変える転職ができるのか、どうしたらいい会社選びができるのか。今回は本書をもとに、著者がキャリア相談に回答する。(取材・構成/飯田雄、堤国之助)

「今の会社にいるのがなんとなく不安」を解決する超納得の方法Photo: Adobe Stock

■質問 今の会社でずっと働いて大丈夫?
 26歳、男性です。大手企業に入社し、入社当時よりB2Bルート営業を担当しています。

 いまのところ会社の業績や給与は悪くはないのですが、今の会社でずっと働いてよいのかというキャリアへの漠然とした不安があります。このまま会社が安泰かどうかはわかりませんし、他社で通用する経験などが身についているのかなど気になっています。

やりたいことと今の仕事の共通点を探そう。それだけで安心するはず

■回答
 かつては大企業に入社すれば、定年まで安泰した生活を送れるという考えが一般的でした。しかし、45歳時点での早期退職の大量募集のなどのニュースが当たり前になった今の日本では、質問者様と同じような不安を抱く方も多いでしょう。

 早期退職の募集などの社会全般の大きな流れに対しては個人が対策を打てるものではありません。

 個人ができることは、「雇われる力」を日々上げることです。そうすればいつでも他の仕事に移れば良い、という安心感が手に入りますし、先行きが良い業界に実際に転職してしまっても良いのです。これが、理想の解決策です。

 ただ、そうは言っても実際は、特に他業界や未経験職種への転職のハードルが高いと感じられる方が非常に多いと感じます。それに、今すぐ自分を変えるのが難しいことは、僕もよくわかります。僕のツイッターには、多くの相談が来ますが、今の会社から次の会社へ転職方法の相談が大半です。また、そのかなりの割合が他業界や未経験職種への転職についてです。

 ですので今回は「自分を変える」のではなく「今持っているものに気づく」方法をお伝えします。

 まずおさえておくべきことは、転職は、今の会社での評価云々よりも、転職先のポジションに自分の経験やスキルが合致するかを問われるゲームだということです。(その意味では、逆に言えば、今いる会社での評価が特別に高評価である必要も社内MVPなどを持っている必要も特にありません)

 よって、最も重要なのは、①自分が行きたいと思う業界・会社・職業(「やりたい仕事」)に必要なスキル・経験と、②自分が持っているスキル・経験、この両者(①~②)の棚卸しをしてあげることになります。そして、両者の紐付けをしてあげて、このつながりを面接でも書類上でもしっかりと見せてあげられることが重要です。

 これらを丁寧に行うことで、大半は「未経験」のレッテルの下、門前払いを食ってしまう職種にもチャレンジすることが可能になります。実際に、僕はこの方法で、自動車業界の開発エンジニアという職種からコンサルティング・ファームに入社することができました。

 一見、関連性が薄いと見える職種でも、このように「共通性」を見出すことによって、未経験職種へのグッと転職可能性を上げることができます。逆にいくらMVPなど社内での評価が高かったとしても、転職先の仕事との関連性が薄ければ全く評価されずに落ちるということになるでしょう。

 このようなテクニックを駆使することで、冒頭で延べた「雇われる力」を上げることは可能ですし、この積み重ねがひいては、キャリアに関する漠然とした不安の解消へと繋がります。

 ※この記事は 『転職が僕らを助けてくれる』の内容を元にしています