同時期に感染者急増、これからの最悪のシナリオとは

 また、このオミクロン株はウイルスの増殖速度も速いため、潜伏期はデルタ株の約4日、従来株の5日以上より短く、約3日とされる。これまでのワクチン免疫や感染によって獲得したコロナに対する免疫をかいくぐって感染が成立しやすく、感染するとより速いスピードでウイルスが増殖、より短い潜伏期間で発症する。

 そんなウイルスが強い感染力を背景に拡大、多くの感染者が同時期に発生する可能性がある。事実、2022年1月6日時点の直近1週間での新規感染者数の2倍になる期間(倍化期間)は、東京1.9日、大阪1.7日、沖縄1.3日と第5波ピーク時のデルタ株での約7日と比較しても短い。オミクロン株は驚異的速度で感染者数を急増させている。

 今後、同時期に感染者が多数発生してくれば、たとえ軽症・中等症であっても医療機関に感染者が集中して受診し、大きな負担がかかってくる。

 また、医療従事者の濃厚接触者・感染者も当然ながら増え、(医療従事者への3回目のワクチン接種がいまだ途上であるので)それによるマンパワーへの悪影響は自明である。デルタ株までは肺炎が増悪した重症者の増加による医療のひっ迫が深刻で、重症者病床の占有率が医療ひっ迫の指標としてよく注視された。一方、オミクロン株はまず軽症・中等症患者の増多による医療現場の混乱が起こることが強く懸念される。

 そして、オミクロンの重症化率がデルタ株や従来株に比して低下しているとしても、感染者数の分母が莫大となれば一定割合で重症化した患者が発生し、遅れて中等症から重症病床がひっ迫してくることも十分に想定される。

 そもそも、高齢化率の高い日本において、1月初旬の現在の若い世代が感染者の多くを占めているデータをもって、オミクロン株の健康被害を軽いと結論付けることにも不確定要素を多く含み、今後の広い年齢層での臨床例の解析を待たねばならないことも付け加えたい。

 今後、2月にかけてオミクロンは著しく速い速度で感染が拡大し、ワクチン接種者や罹患経験者の再感染を巻き込んで同時大流行する。その最悪のシナリオの可能性があることを想定した対策が必須となる。

 では、どう対応すべきであろうか?