米投資銀行幹部が実践、素早い決断には「たった二つの情報」があればいい理由Photo:PIXTA

変化が激しく絶対的な正解がない時代においては、迅速な決断と行動を繰り返しながら最適解を模索していくことが、組織の成功を手にできる早道です。にもかかわらず、多くの企業で決断の遅い管理職が問題となっています。日本と米国、両方の企業でのマネジメント経験をもとに、迅速に決断できる人は何が違うのかについて解説します。(アークス&コーチング代表 櫻田 毅)

決断が遅い管理職が
組織のボトルネックになっている

 あるサービス業界の企業で企画業務を担当している男性から、このような愚痴を聞きました。

「部長がとにかく決めてくれない。進捗状況を聞いても、情報が足りないと言うばかり。そのうち他社に出し抜かれやしないかと心配です」

 その部長の口癖が「スピード感を持って仕事をしろ」なので、もう笑うしかありませんと、男性は話します。

 彼以外の人からも、管理職の決断力のなさを指摘する声をよく聞きます。意思決定にほとんど影響しない情報まで求めたり、懸念点を洗い出すことばかりに時間を費やしたり、結論の出ない会議を繰り返したりで、その管理職がボトルネックとなって仕事全体が進まないというのです。

 一方で、シリコンバレーのIT業界やウォール街の投資銀行業界に代表されるように、「スピードが命」とばかりに、迅速な決断と行動で勢いよく仕事を進めている人たちもいます。彼らに限らず、絶対的な正解がない時代には、「分かったからやる」ではなく「やるから分かる」という発想で決断、行動しなければビジネスは成功しません。

 では、彼らはどのようにして迅速な決断を行っているのでしょうか。