長らく続く新型コロナウイルスの感染拡大。働き方や生活スタイルの変化により、人間関係にも大きな変化があった人も多いのではないだろうか。とくにパートナーとの関係が難しくなった人も多い。愛とは何か、改めて考えたくなった人にぜひ読んでもらいたいのが、『大丈夫じゃないのに大丈夫なふりをした』(クルベウ著 藤田麗子訳)だ。
読者からは、「1ページ目から涙が出た」「すべての文章が刺さった」「大切な人にプレゼントしたい」との感想が多数寄せられている。「自分らしく、豊かに生きるためのメソッド」が詰まった本書。今回は、これから結婚する息子に対して父が語った話を一部抜粋、編集して紹介する。
妻は特別なことを望んでいるわけではない
40年の結婚生活の中で、大ゲンカをしたこともある。
そのたびに数えきれないほど原因を考えたが、
相手の心がひどく傷ついた理由はただ1つだった。
特別なことやたいそうなことを望んでいるのではなく、
今、自分がどれほど傷ついているのかをわかってもらえないと感じて、
その気持ちに気づいてほしくて腹を立てたり、
言葉で傷つけ合うことになったりしたのだと思う。
だから、覚えておくといい。
妻は傷ついたとき、
特別なことを望んでいるわけじゃない。
傷ついた心に気づくことが大切だ。
自分の言いたいことを話すのはそれからでも遅くない。
最初からおまえの言い分を通そうとしたら、
傷ついたのは自分のほうだと主張して怒鳴り合うことになり、
自分がどれだけ怒っているのかを示すために、
ひどい言葉を言い合うはめになってしまう。
時間があるときは、
一緒に歩く時間を取るようにするといい。
父さんはとっておきの場所に
夫婦で旅行に行ったこともいい思い出だが、
いちばん幸せだった時間を誰かに尋ねられたら、
愛する人の手を握って
あてもなく歩いたときだと答える。
手をつないで歩けば、感じることができる。
私たちが共に過ごすこの時間が、二度とは戻らない、あまりにも大切な時間であることを。
私たちが一緒に歩くこの道がどれほど美しい道なのか。
私たちがこれから歩む道も一緒なら
心強くて楽しい道になるだろうというワクワクした気持ち……。
人生を妻と共に歩むときは、
速度を合わせなさい。
あまりにも速くひとりで前に進もうとしてはいけない。
妻が疲れるかもしれない。
心を傷つけられたとしても、
距離を置きすぎてはいけない。
以前と同じ距離に戻るまでに、
長い時間がかかってしまうから。
いつでも隣を見つめながら、一緒に歩いていきなさい。
速度を合わせて、進むべき道について話し合いながら。
そうすれば
人生は悲しすぎることも
痛すぎることも
憂うつすぎることもないだろう。
いつも一緒に歩む人が隣にいるのだから。
(本原稿は、クルベウ著 藤田麗子訳『大丈夫じゃないのに大丈夫なふりをした』から一部抜粋・改変したものです)