人間性の尊重が経営にとっても、
働いている人にとっても有効

磯谷 現場の実態をみていれば、仕事を押し付けるのではなく、人間性の尊重が経営にとっても、働いている人にとっても有効な考え方であることは、一目瞭然なのだけどね。

稲田 結局、トヨタ生産方式は、自動車つくりの土俵でしたが、人を大切にし、「コト」を重視した経営のあり方をかたちにしたものであると思います。かのデミング博士も80年代の日本での講演で、拝金主義に偏り、結果的に事業が低迷し、苦しんでいた当時の欧米式の経営スタイルを批判しました。その際に博士は、数字に囚われる「欧米病」に日本企業がかからぬようにと危惧を述べました。

 今回の磯谷さんからのお話のような内容を日本企業から学んだ当時の米国企業は、人と「コト」を重視する経営の有効さに気づき、90年代にはその多くが低迷状態から脱していきました。しかし逆に、この「欧米病」は80年代から日本企業に蔓延し、未だにそこから抜けることができていません。もともと強かった自分達、日本企業の仕方のエッセンス部分に気が付けばいいだけの話なのですが。

磯谷 会社とは、経営目標となる「モノ」と、その達成への方策、実施事項となる「コト」からなり、根底にあるのは人の総合力となる。これは、明確な指針を示すトップダウンと、やる気のあるボトムアップからなると思う。製造業で言うならば、QCサークルをはじめ、オペレータが自分の使う設備を自主的に管理する自主保全、生産性向上のための課題に挑戦する自主研、提案制度などがある。先ほども述べた、ICT(Information Communication Technology)が重要だと思うよ。

つづく