PC画面に映る「メンバーの顔」ではなく、
「カメラレンズ」を見ながら話す
さて、ここから「オンライン会議 10のルール」を説明してまいります。
【ルール1】マイクはミュート(発言するときにON)
これは、雑音を排除して、会議内容に集中できる環境をつくるために欠かせないルールです。自宅から参加しているメンバーであれば「生活音」をマイクが拾ってしまうことがありますし、やむを得ず喫茶店などから参加している場合には、周囲の雑音を拾ってしまいます。あるいは、PCが発するメールの着信音なども頻発すると、会議の妨げになります。ですから、必ず、参加者はマイクをミュートにして、発言するときのみマイクをONにするように徹底する必要があります。
【ルール2】カメラはONにする
次に、「2 カメラはONにする」です。
すでに触れたように、オンライン会議では、画面上で他の参加者の顔を見ていても、リアル会議よりも格段に少ない情報量しか伝わりません。ですから、「カメラをOFF」にしたら、ほとんど何も伝わらないと考えるべきです。時には、今誰が発言しているのかすらわからないこともあるでしょう。そのような状態では、まともな会議運営は不可能ですから、必ず「カメラはONにする」ようにルール化することをおすすめします。
ただ、自宅のWi-Fi環境がよくないために、「カメラをON」にすると通信遅延が生じるなどの理由から、「カメラはOFFにする」というルールを設けている会社もありますが、これは本末転倒だと私は思います。
社内の各部署が質の高い会議を行うことこそが、会社の生命線であり、リモートワークの成否を左右する重要なポイントです。だから、会社としてリモートワークを推進するのであれば、会社が通信費を補助してでも、全社員に良好な通信環境を提供することを考えたほうがよいと、私は思うのです。
管理職の「表情」と「声音」が、
オンライン会議の雰囲気を左右する
【ルール3】カメラレンズを見て、普段より2割増しの音量でゆっくり話す(Webカメラ・イヤホンマイク・照明を用意)
オンライン会議で発言するときには、必ずカメラのレンズを見て話すようにします。
ついつい私たちは、相手の顔をまっすぐに見つめながら話そうとして、PC画面に表示される他のメンバーの顔を見ながら話してしまいがちです。自然にそうなってしまうのですが、これはよくありません。
なぜなら、相手のPC画面に映し出されるのは、明後日の方向を向いて話す私たちの顔だからです。それでは、どんなに一生懸命に話しても、相手には説得力を感じてもらえないでしょう。だから、オンライン会議で話すときは、必ずカメラのレンズを見つめながら話すようにしなければなりません。
「画像」だけではなく、「音声」も重要です。
オンライン会議では音声が確実に劣化しますから、リアルなコミュニケーションと同じ感覚で話すと、相手にとっては非常に聞き取りづらい話になってしまいます。そこで、普段よりも2割増しの音量を出すことを意識して、ゆっくりした口調とはっきりした発音で話すように心がける必要があります。
また、こうしたオンライン環境のデメリットをできるだけ解消するために、Webカメラ、イヤホンマイク、照明の「3種の神器」を揃えるようにメンバーに促したほうがいいでしょう。少なくとも、会議の主催者である管理職は絶対に揃えたほうがいいと思います。
というのは、オンライン会議でメンバー全員が注目するのは、管理職の表情や声音だからです。管理職の発言内容がどんなに前向きであったとしても、表情や声音がネガティブな印象を与えてしまえば、会議そのものがネガティブな雰囲気のものとなってしまうのです。
これは、「メラビアンの法則」が明らかにしたことで、「『楽しいね』と言いながら、声のトーンは低く、不機嫌な顔している」といったような、言葉と表情、態度が矛盾している状況において、人の印象に影響を与える度合いは、「視覚情報(見た目、しぐさ、表情、視線)」が55%と最大で、次いで「聴覚情報(声の質や大きさ、話す速さ、口調)」が38%、「言語情報(言葉そのものの意味、会話の内容)」は7%に過ぎないのです。
だからこそ、管理職はWebカメラ、イヤホンマイク、照明を揃えて、メンバーのPC画面に自分の顔がどのように映り、スピーカーを通してどのような声音で伝わるかに十分に配慮する必要があります。
まず、PC内臓のカメラの性能はそれほどよくありませんから、専用のWebカメラを用意して、自分の顔とほぼ同じ高さにセッティングします。ノートPCの場合に内臓カメラのほうを向いて話すと、メンバーのPC画面では“上から目線”で話しているように見えるので要注意。Webカメラと目線の高さを揃えて、まっすぐ向き合って見えるように調節します。
照明も大切です。自宅の照明だけでは、顔が薄暗く映ったり、場合によって影がかかるようなこともあります。それでは、不健康で暗い雰囲気になりますから、専用の照明をセッティングして、顔が健康的に映るようにします。そして、イヤホンマイクを使用することで、自分の声を高音質で伝えるようにすれば完璧でしょう。