世界的に進むEV(電気自動車)化。この好機を商魂たくましい台湾企業はもちろん見逃さない。エンジン車の時代には自動車業界で優位に立つことのできなかった台湾企業が、EVの波で見いだす「四つのビジネスチャンス」とは。特集『半導体・電池・EV 台湾が最強の理由』(全6回)の最終回では、台湾企業が殺到するEVの商機について伝える。(台湾「財訊」劉志明、翻訳・再編集/ダイヤモンド編集部副編集長 杉本りうこ)
台湾企業が群がる
EV「四つのビジネスチャンス」
EMS(電子機器受託製造サービス)世界最大手の鴻海精密工業は2021年5月、欧州の自動車メーカー、ステランティス(旧フィアット・クライスラー・オートモービルズ)と合弁で、次世代自動車のスマートコックピットを手掛けることを発表した。この合弁での鴻海の投資額は8000万ドル。鴻海がEVの開発コンソーシアム「MIH」を始動させて以来、最も重要な投資となる。
スマートコックピットとはディスプレーやナビゲーション、クラウドサービスなどを組み合わせた複合的な車載情報システムだ。鴻海がこの技術の全体を手掛けようとしている一方、スマートコックピットの中核に当たるAR(拡張現実型)ヘッド・アップ・ディスプレーには、複数の台湾企業が参入している。