31のヒントで自分の仕事の「別のやり方」を考えてみる
――成功するビジネスモデルを理解しなければ、自分の仕事に置き換えができないわけですね。
平尾 「何でこの人は成功したんだろう?」と思ったとき、「運が良かっただけです」と言われて納得しちゃうとそこで終わってしまいます。もちろん運の良さって成功者には必ずあるんですが、この人の実力はどこなのか? という視点を持たないと本質が見えてきません。
だから、起業家でもビジネスパーソンでも成功している人の話を聞くときは、その人のいいところと、ビジネスのやり方のいいところをいくつか探して、抽象化します。そのうえで、この人はこういう部分がほかと違うから成功したんじゃないか? という仮説を立てるんです。答えがわからない仮説でも、同じような仮説が何人かに当てはまれば再現性が高まりますから。
――31のヒントは「変える」「探す」「考える」の3つのカテゴリーに分かれています。「変える」は時間や場所、業態や販売チャネルを変えるなどそれほど難しくない印象です。「探す」はお金を払ってでも欲しいものを探す、いらないものを探すなど気づきが多いです。「考える」は反対を考える、未来はどうなるか考えるなどちょっと高度になりますね。
平尾 そうですね。でもどれもちょっと見方を変えたり、ちょっと探し方や考え方を変えるだけの方法論です。ただ多くの人は、今自分がやっている目の前の仕事が、周りにどう評価されるか答え合わせをして終わるサイクルをずっと続けているので、もったいないと思うんですよね。
自分の仕事で、もっと突き抜けた成果を出すために別のやり方を考えたり、因果関係や相対性を考えて、その強みや弱みを定義づけするところまで落とし込んでいない人が多いので。自分の仕事はもちろん、成功者の話を聞いたときも、本に書いた31のヒントを1つ1つ照らしあわせてみると、そのビジネスが成果を上げているのはなぜか、といった理由に気づきやすくなると思います。
たとえば、自分が何かの仕事で成果を出したら、その業界に同じレベルの人が何人くらいいて、どんな成果を出しているか調べてみると、ライバルの方法論を知るきっかけにもなります。新しい仕事をはじめるときは、「別解」が通用するかどうかが決め手になるので、ライバルが1000人いたらその時点でやめたほうがいいですし、私は100人いてもやりたくないと思うくらいです。