ストア派を読み解く本

 ストア派の哲学は、初期・中期・後期と展開していくのですが、初期のゼノンから中期における思想の展開は、資料があまり存在せず、それほどよくわかっていません。

 勉強したい皆さんには少し専門的ですが、ゼノン他『初期ストア派断片集(1)』(中川純男訳、西洋古典叢書、京都大学学術出版会)があります。

 後期については、重要な文献が残っています。

 解放奴隷から哲学者になったエピクテトスの『語録 要録』(鹿野治助訳、中公クラシックス)、ローマ帝政初期の政治家セネカの『生の短さについて 他2篇』(大西英文訳、岩波文庫)、そして皇帝マルクス・アウレリウスの『自省録』(神谷美恵子訳、岩波文庫)などです。

 その他、荻野弘之『マルクス・アウレリウス『自省録』──精神の城塞』(書物誕生あたらしい古典入門シリーズ、岩波書店)もお薦めです。

 ストア派の哲学は内容が多岐にわたり、思索の展開も難解です。

『哲学と宗教全史』では、哲学者、宗教家が熱く生きた3000年を、出没年付きカラー人物相関図・系図で紹介しました。

 僕は系図が大好きなので、「対立」「友人」などの人間関係マップも盛り込んでみたのでぜひご覧いただけたらと思います。

(本原稿は、13万部突破のロングセラー、出口治明著『哲学と宗教全史』からの抜粋です)