コロナ禍3年目に突入した現在も深刻な業績不振に見舞われている航空業界。こうした危機的状況を幾度か経験しながらも、かつてはグローバル化の波に乗って需要を回復させていました。しかし今回は、コロナ後のビジネスのあり方を再考しなければならない大きな変化が訪れているといえます。これから航空会社は、どのような成長戦略を描いていけばいいのでしょうか。(グロービス ファカルティ本部テクノベートFGナレッジリーダー 八尾麻理)
コロナ禍3年目も低迷する旅客需要
今年も3割減の予想
世界的な新型コロナウイルスの感染拡大を背景に各国で渡航制限が行われ、国際線の利用者数は大きく減少しました。国連の一機関であるICAO(国際民間航空機関)が1月25日に発表した資料によると、コロナ感染拡大前の2019年と比較した世界の旅客需要は、20年が6割減、21年が5割減と大きく沈み、コロナ禍3年目の22年も約3割(28~33%)減で推移すると予想されています。
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航空業界が危機に直面するのは今回が初めてではありません。過去にも、9.11(米同時多発テロ)、SARS(重症急性呼吸器症候群)、リーマンショックなど、幾度も急激な需要減を経験しながらも、長期的なグローバリゼーション(ヒト・モノ・カネの世界的な拡大)に伴う上昇トレンドへ戻してきました。
しかし、今回は様子が異なります。つまり、足元の需要減少が問題なのではなく、コロナ後の「収益性」を危ぶむ別の要因があるのです。それはいったい何でしょうか。