グローバルな視点で「優れたやり方」を調べる

平尾 面白いですね。起業家には「自分らしいやり方」や「別のやり方」が強い人が多いと思うんですが、松本さんは「優れたやり方」が特に強いと感じました。

松本 私は「勉強が楽しい」と思う性質なので「優れたやり方」を調べるのは苦になりません。

ただ、自分の哲学も持っています。たとえば「うまくいく事業は複利で成長するので、30年の時間軸で見る」とか「事業が産業インフラとして1兆円の流通をつくるにはどうすればよいか、大きな問いを立てる」ですね。この哲学が、もしかすると「自分らしい」に入るのかも知れません。「優秀なやり方」と「自分らしいやり方」の組み合わせで戦っていると思います。

平尾 さすがです。大きなビジョンと中長期的な経営視点で考えていらっしゃいますね。「自分らしいやり方」を踏まえたうえで「優れたやり方」を突き詰めていきながら、「戦略的別解」に昇華されているように感じました。

松本さんのやり方ができると、ビジネスパーソンの方も圧倒的に成果が出せると思ったのですが、どうすればできるようになりますか?

松本 グローバルな視点から「優れたやり方」を調べて、日本では「別のやり方」になるものを探すのがいいかなと思います。

たとえば、役員報酬の8、9割を株式にするのは、アメリカでは普通のことですが、日本だと「別のやり方」になりますよね。

あるいは、インドで新卒採用して日本に連れてくるのではなく、インド人の役員を採用して、リモートで日本人に指示をだしてもらうとか。

アメリカのシリコンバレーでは当たり前のやり方なんですけど、日本だと「別のやり方」になります。

あるコンテクスト(文脈・背景)から一歩外に出たとき「別のやり方」になるものは、結構多いです。

平尾 この本の「別のやり方を引き出す31のヒント」でも「タイムマシン」や「複利」がヒントになると書いたのですが、さすが松本さん、さらりと実践されていて大変勉強になりました。

〈第2回へ続く〉