いま、注目を集める研究会がある。わずか2年で約1000人規模へ拡大し、東大新入生の20人に1人が所属する超人気研究会に成長した、「東大金融研究会」だ。創設者は外資系ヘッジファンドに20年在籍し、超一流の投資家として活躍してきた伊藤潤一氏。東大金融研究会ではお金の不安から自由になり、真の安定を得るために「自分の頭で考える」ことを重視している。世の中に溢れる情報や他人の声に振り回されず何が正しいのかを自分で判断し、物事を本質的に理解し、論理的に思考を展開することで、自立した幸せな人生を歩むことができるからだ。本連載では、東大金融研究会の教えを1冊に凝縮した初の書籍『東大金融研究会のお金超講義』から抜粋。頭のいい人だけが知っている「お金の教養と人生戦略」を紹介する。

「すごい人」との距離を縮める「物理の公式」Photo: Adobe Stock

超一流の仕事を実現する「引力の公式」

私は、異業種の人と共同作業をする場合、カギになるのは「自分が一流になる努力をすること」と「異業界の一流と距離を縮めること」だと考えています。

この考えは物理で習った引力の公式から着想を得ています。

引力=万有引力定数×{質量A×質量B/(距離R)2}

まず、この公式の{質量A×質量B/(距離R)2}を見てください。

分子は質量Aと質量Bの掛け算ですから、質量Aと質量Bが重ければ重いほど引力は大きくなります。

分母は距離Rの2乗ですから、距離が近ければ近いほど分母は小さくなり、引力は大きくなります。

質量Aを自分の重さ、質量Bを相手の重さとすると、異分野の人たちと交わる場合まずは自分の重さ(質量A)が大きくなるよう、超一流の人間として相手と組めるだけの努力が必要です。

そして、組む相手の重さ(質量B)を大きくするには、やはりそのジャンルで超一流と言われる人と組むことが望ましいということになります。

ただし、異分野の人間同士ということは、最初に知り合ったときの「距離」は当然ながら非常に遠いはずです。その遠い距離の2乗が分母になれば、せっかく超一流同士が組んでも、引力は小さくなってしまいます。

ですから、勝負はここからなのです。

最初にお互いの距離が遠いのは、それぞれ異なる環境に身を置いてきたのですから仕方がないことです。

距離を縮めるためには努力するしかありません。名刺交換で終わらせず、次の機会のためにLINEでメッセージを送ったり、ランチに誘ったり、さらにディナーでよりお互いを知る機会をつくるといったように、自分から距離が縮まるよう働きかけるのです。

そうして距離が徐々に近くなれば、「引力の公式」の分母が指数関数的に小さくなり、引き合う力はとてつもなく大きくなります。

つまり、何よりもまず大事なのは「自分が一流になる努力」です。

そのうえで心がけるべきことは、「なるべく異分野の人(=自分と「距離」が遠い人)」と交わることです。それも、その世界で「一流」と言われるような人と付き合えるように努力しましょう。

最初は異分野の人とは「距離」が離れているため、引き合う力はほとんどありません。そこで諦めず、「距離」を縮める努力もしましょう。

これらの努力を重ねることが、「引力」を大きくすることにつながるのです。

(本原稿は、伊藤潤一著『東大金融研究会のお金超講義 超一流の投資のプロが東大生に教えている「お金の教養と人生戦略」』から一部抜粋・改変したものです)