まず、グーグルが発表しているGPSデータを見ると、コロナ禍以前と比較した人出は今や9割がた元に戻っています。直近のデータでは飲食店やショッピングセンターの人出はコロナ以前の93%程度、職場の出勤率は88%、乗り換えのターミナル駅の人出も85%と、以前の生活に近い数字になっています。

 リモートワークがある程度定着したことと慎重派のひとたちが一定数いることで、人出は1割減った程度ではあるのですが、それ以外は元に戻った状況です。

 質的な側面でより顕著なのは、そういった街中に戻った人たちの行動が結構大胆だということです。4月の上旬に出張があった際にフィールドワークを兼ねて京都に数日滞在して調べてみたのですが、中心部の繁華街は過去2年間になかったほどの賑わいで、京都の市バスもかなりの混雑をみせていました。

 陽気も暖かくなってきたこともあり、人混みでもあごマスクやノーマスクで行動している人も目立つようになりましたし、マスクで安心したせいか大声で会話をしながら歩いている人の数も増えています。

 私は、個人的にはコロナのリスクを感じている側なので「やめてほしい」と思うのですが、公共交通機関の狭い車内では、大声での会話をやめないグループが一組は必ず乗っているように感じます。

 ここで、それが良いとか悪いとかを述べたいのではありません。ただ、今それが起きているという話です。ここまでの状況をまとめてみましょう。

 弱毒化したとみんなが安心したことで街に人出が戻り、経済が活気づき始めている。一方で重症化リスクは今も存在していて、医療現場は相変わらずひっ迫している。そしてそのような行動が日常なものですから、実効再生産数は1.0近辺でとどまりコロナはいつまでたっても収束しません。