好きなものを選び、やるべきことを見極める

土屋:UIデザインは好きで、iPhoneが出た時もすぐ買いに行きましたし、デザインが優れている海外製のアプリをずっと入れ続けていました。それは「自分らしいやり方」になると思います。

サンフランシスコへいったときも、結構いろんなビジネスに出会ったんですね。

それこそ当時Uberもあったので、「Uberを日本でやる」という選択肢もあったんです。他にもいくつか「タイムマシン」で日本に持ってこれるビジネスモデルはありました。ただ結果的に僕はビジネスではなく、UIを持ってきたんですよね。

平尾:Uberではなく、UX/UIを持ってきたんですね。

土屋:でもその時点だとマーケットも何もないし、儲かるものでもないという認識でした。自分自身の能力がそこまで高くないから、デザインの領域で好きなものを選んだのだと思います。

最初から上場できるなんて全く思ってないし、「好き」かつ「これから重要になりそう」な分野だったのが理由です。

グノシーやマネーフォワードでたまたま有名になり、あっという間に社員が20人とか30人成長していく中で、「上場か売却か」という選択肢がありました。

デザイン会社で上場はかなり難しいことはわかっていたんです。一方で、この業界にいるデザイナー経営者は、経営をメインでやってないんじゃないかとも思いました。

平尾:経営者でもデザインをメインでやってしまっているということですよね?

土屋:デザイナーと一緒にやる方が楽だし、経営者になっても自分も手を動かしたいんですよね。まともに経営をやっている人がいないから従業員の給与も安いし、業界的に平均年収も低い。

僕は「起業家として経営に取り組みたい」という思いが先にあったので、完全に切り分けられました。それがデザイン会社で上場できた理由の一つかなと思います。

平尾:どのお話も別解力が満載で、とても面白かったです。ありがとうございました。

土屋:ありがとうございました。

「自分の能力は高くない」と思っている人ほど、やるべきことを見極められる