中国武漢市で初の感染者が報告されたのは、2019年12月初旬。あれから2年半近く経過し、我々は世界的なパンデミックを経験し、今もなお非日常の中にいる。学校や仕事の在り方はオンラインを介して実施され、最近ではオンラインとオフラインのダブルスタンダードでその過ごし方が着地しつつある。その是非についてはここで問わないが、変化の多かった時代を過ごしたことには違いない。そんな中で我々が気付いていない心身の疲労はないだろうか。
自分の意志とは関係なく働く「自律神経」。24時間360日、私たちの体を調整してくれている大事な神経だ。自律神経の乱れは、心身ともに良くないことは言わずもがな。では、今の時代においてどのように調整すべきか。普段から運動をする読者においても、心身の安定は身近なテーマ。今回は、「入浴」という切り口で、後藤康彰医学博士に聞いた。(取材・文・撮影/編集者・メディアプロデューサー 上沼祐樹)
副交感神経を優位にする
「入浴」の効果
頭痛やめまい、肩こり……。忙しい毎日を過ごすビジネスパーソンにとって、見過ごしがちな体調変化のサインがある。これらは自律神経の乱れからくるものが多い。昼間の活動時間にアクセルを踏んでくれる役割が「交感神経」、一方で夜間などリラックスしている時間にブレーキを踏んでくれるのが「副交換神経」だ。
「前者が強く働くと、血圧が向上し、瞳孔が拡大して興奮状態に。後者が強く働くと、血圧が下がり、瞳孔が縮小して鎮静状態となる」と教えてくれるのが、日本健康開発財団の後藤康彰医学博士。
温泉・入浴を焦点に、加齢を制御する生活行動研究を行なっており、「個人の心身の状態を良くすることは、企業にとってのパフォーマンス向上にも繋がる」と、ビジネスパーソンにも気づきを与える活動を行なっている。効果的なワーケーションを実現するためにBIGLOBEが主催する「ONSENWORK」にも関わっている。今回、ONSENWORKの体験取材を通して様々なアドバイスをもらった。
世界の7%の活火山が集積し、温泉資源が充実している日本。源泉数は2万7969あり、温泉地数は2万971。公衆浴場も身近で7883あり、温泉を伴った宿泊施設は1万3278にもなる。入浴に伴う環境がそろった国とも言える。