「矯正」ってしたほうがいいの?
福:僕の親は一瞬、僕を右利きにしようとしましたけど、そうしたら言語脳の発達が早くなったりしないんですか?
加藤:矯正というと、皆さん誤解をしているんですよ。脳のことを考えずに、ただ右利きにしようとするけど、そもそも左手を使うのが得意だってことは、イメージとしては脳の中で左側の道路だけが先に育っている、という感じなんです。
それを無理に右利きにするのはどういうことかというと、道路がない右側に新たに道路を作ろうとするということ。ゼロから作るわけだから、えらい大変なんです。
福:そっか、言語脳の発達どうこう以前に、まだ道路ができていない……。
加藤:でも左利きの人は必然的に右手も使う機会が多いから、両方の道路ができていくというメリットがあります。だから小さいときにしっかり書いたり話したりということをやっていると、10歳ぐらいからぐんと成長してくるはず。
福:楽は最近スマホを持ち始めて。LINEがすごく楽しいみたいなんですけど、それも言語を鍛えるうえではアリですか?
加藤:それもいいと思いますよ。僕は大学を出た頃、世の中にパソコンというものが出てきたんだけど、パソコンで打ち始めたらすらすらと言葉が生み出せるようになったんです。
それまでは無理して右手で書いていたから、脳内での言語処理がスムーズにいっていなかったんでしょうね。そのことには、この本を書いていて気づきました。そういえばパソコンで打つようになってから、どんどん言葉が出てくるようになったなって。
福:無理に右利きにしても、どこかで左利きに戻るときがくるかもしれないですね。現に僕のマネージャーさんは完全に右に矯正された人で。書くのもお箸を使うのも右手なんですけど、洋食を食べるときのナイフとフォークは逆に持つんですよ。
加藤:福くんみたいに、社会生活の中で自然な流れで右手を使うのはいいんですよ。ある意味、もっとも理想的に左右が発達したケースだと思いますけど、それはあくまで福くんだったから。現に自分の子供時代を思い返しても、無理に変えるのはきついものがあるので、やはり自然な流れに任せるのが一番じゃないかと思います。
そして、左手から右手への『矯正』や『強制』ではなく、『選択』でありたいですね。
2013年6月28日生まれ。小学3年生。東京都出身。鈴木家4きょうだいの3番目。0歳から芸能活動をスタート。デビュー作はNHK大河ドラマ「花燃ゆ」。教育テレビ、ドラマ、映画、CM、バラエティーなど多岐に渡り活躍中。いかにも子どもらしいキャラクターで人気を博している。特技:箏、空手
左利きの脳内科医、医学博士。加藤プラチナクリニック院長。株式会社脳の学校代表。昭和大学客員教授。発達脳科学・MRI脳画像診断の専門家。脳番地トレーニングの提唱者。14歳のときに「脳を鍛える方法」を求めて医学部への進学を決意。1991年、現在、世界700ヵ所以上の施設で使われる脳活動計測fNIRS(エフニルス)法を発見。1995年から2001年まで米ミネソタ大学放射線科でアルツハイマー病やMRI脳画像の研究に従事。ADHD(注意欠陥多動性障害)、コミュニケーション障害など発達障害と関係する「海馬回旋遅滞症」を発見。帰国後は、独自開発した加藤式MRI脳画像診断法を用いて、子どもから超高齢者まで1万人以上を診断、治療を行う。「脳番地」「脳習慣」「脳貯金」など多数の造語を生み出す。InterFM 897「脳活性ラジオ Dr.加藤 脳の学校」のパーソナリティーを務め、著書には、『脳の強化書』(あさ出版)、『部屋も頭もスッキリする!片づけ脳』(自由国民社)、『脳とココロのしくみ入門』(朝日新聞出版)、『ADHDコンプレックスのための“脳番地トレーニング”』(大和出版)、『大人の発達障害』(白秋社)など多数。
・加藤プラチナクリニック公式サイト https://www.nobanchi.com
・脳の学校公式サイト https://www.nonogakko.com