T:TEACH(教える)

 FASTでは新しい知識を吸収するとき、得た知識を自分が誰かに教えることを想定して学習する。解説を想定した上で学習に取り組むと、情報の収集や整理の仕方が変わってくることから、学習の加速が期待される。

有酸素運動をすると
集中力が上がる理由

「FAST」を上手く取り入れると、ビジネスパーソンのキャリア形成に役立つ。たとえば資格取得によるスキルアップやMBA取得を効率的に進められるだろう。

 ただし「FAST」を実践するならば、有酸素運動も取り入れることをお勧めしたい。なぜなら有酸素運動は、脳と身体に良い影響を与えるからだ。「FAST」におけるSTATE(状態)は脳と身体のコンデションを指すため、有酸素運動との相性がいい。

 ビジネスパーソンは、脳と体に疲労が溜まりやすい。脳と体に溜まった疲労を解消する方法は睡眠と休息が基本だが、有酸素運動の効果も見逃せない。

 注目したいのは、有酸素運動による血行促進効果である。運動不足の人は、血行不良に陥りがちだ。血行不良は、肩こりや腰痛、眼精疲労を招く。体に痛みや不調を抱えた状態では、とてもではないが仕事や学習に集中していられない。

 血行不良は自律神経の乱れを引き起こすとも考えられており、不安や緊張、めまい、不眠などの症状にも関係している。気が散って集中できない、不安なことが頭から離れない、などの悩みを抱えている場合、血行不良が原因かもしれない。

 適度な有酸素運動を行うと血行が促進され、体の隅々まで酸素と栄養が運ばれていく。慢性的な痛みや不調の原因が血行不良の場合、有酸素運動によって症状が改善される可能性が高いだろう。

 運動をすると体のコンディションが整うが、脳にもポジティブな変化が現れる。運動をしているとき、脳内ではドーパミンやセロトニンなどの物質が分泌される。