ゴルフ会員権を売るなら春か秋! その理由は?

【売却する場合】
 売却の方法は、「①代表相続人に名義を換えることなく、そのまま第三者に売却できる場合」「②一度代表相続人に名義を換えてからでないと売却できない場合」の2通りがあり、ゴルフ場によって異なります。

 ①、②ともに会員権業者に支払う手数料が発生します。取引価格の2%~3%程度が目安です。加えて、②の場合には、名義書換のためにゴルフ場に支払う費用が発生します。通常の名義書換料より割安になっているゴルフ場が多いですが、名義書換に日数を要するため、すぐに売却することができません。

 ゴルフ場に①、②のいずれに該当するかの確認が完了したら、会員権業者を通じて市場で売却手続を進めるのが一般的です。ゴルフは春、秋がトップシーズンですので、この時季には買い希望が増加し、高値で売れる傾向にあります。

④必要書類を準備する
 名義書換をして利用する場合も、売却をする場合も必要となる書類は同じです。

◦ゴルフ会員証書、またはゴルフ会員権
◦遺言書もしくは遺産分割協議書の原本(コピーで良い場合もあります)
◦戸籍謄本の原本(故人の出生から死亡までのものと、相続人全員の現在戸籍を準備しましょう。コピーでよい場合もあります)
◦相続人全員の印鑑証明書の原本(発行から3ヵ月以内のもの)

 遺産分割協議書がない場合には、誰がゴルフ会員権を相続するかを記載した同意書を作成し、相続人全員が署名・押印(実印)をして、提出します。なお、この同意書は、ゴルフ場で用紙が決まっている場合があります。

償還という手続もある

 預託金制のゴルフ会員権で、市場での売却が難しい場合には、会員権をゴルフ場に返すことを意味する「償還」という手続をとることができます。預託金は、10年~20年の据置期間を経て、会員が退会する際に、返還されるのが一般的です。

 市場で取引されている価格が預託金額を下回る場合や、そもそも市場での売却が難しい場合には、退会手続を行い、預託金の返還を受ける「償還」を選択しましょう。

 ただし、会員減少によるゴルフ場の経営状態の悪化や、償還を選択する人の増加に伴い、ゴルフ場に預託金を返還するだけの資金力がないという理由から、特にバブル崩壊後には返還を拒否される問題が多発しました。

 償還手続をとりたい場合には、ゴルフ場に返還が可能か確認をしましょう。
(本原稿は、橘慶太著『ぶっちゃけ相続「手続大全」ーー相続専門YouTuber税理士が「亡くなった後の全手続」をとことん詳しく教えます!』を編集・抜粋したものです)