コスト、純資産残高、出来高をチェックする

 次に重要なのは、コスト(信託報酬)が十分に低いことです。ETFは全般に低コストの商品ですが、その中でもできるだけコストが低いものを選びたいところです。

 そして、三つめにチェックしたいのは、純資産残高と出来高です。

 純資産残高が小さく、出来高も小さいETFには償還されてしまうリスク(運用会社が運用を止めてしまう)があります。

 また出来高が小さければ、いくら「リアルタイムで取引できる」といっても日によっては値がつかないこともあるかもしれません。「売りたいときに売れない、買いたいときに買えない」という流動性リスクも考えざるを得ないわけです。

 下の図表は、国内に上場している海外資産クラスのETFについて、2021年4月末時点の出来高をまとめたものです。

 たとえば、表の上から3番目の「上場インデックスファンド世界株式(MSCI ACWI)除く日本」は、日本を除く世界の先進国株式に分散投資できるというものです。

 投資対象だけ見れば使い勝手のよいETFですが、出来高を見るとたったの3462株しか出来ていないことがわかります。

 出来高は、流動性の観点から最低でも1日当たり1万株はあったほうが望ましく、このETFは出来高を見る限り投資対象にはできません。

朝倉智也(あさくら・ともや)
モーニングスター株式会社 代表取締役社長。
1966年生まれ。1989年慶應義塾大学文学部卒。銀行、証券会社にて資産運用助言業務に従事した後、95年米国イリノイ大学経営学修士号取得(MBA)。同年、ソフトバンク株式会社財務部にて資金調達・資金運用全般、子会社の設立、および上場準備を担当。98年モーニングスター株式会社設立に参画し、2004年より現職。第三者投信評価機関の代表として、常に中立的・客観的な投資情報の提供を行い、個人投資家の的確な資産形成に努める。
主な著書に、『改訂新版 ETFはこの7本を買いなさい』『全面改訂 投資信託選びでいちばん知りたいこと』『つみたてNISAはこの7本を買いなさい』『一生モノのファイナンス入門』(以上、ダイヤモンド社)、『iDeCoで自分年金をつくる』(祥伝社新書)、『お金の未来年表』(SB新書)などがある。