この“特権”を使って勉強をしたら、実は集中力も向上していてスポーツ時にも生かされるというプラスのサイクルが働きだすのだ。子どもたちにはトップダウンではなく、こういった“気づき”を多く与えるとよい。日本の15~18歳は、先進国の中でも自己肯定感がワーストレベルで低いと伴氏は指摘する。
結果だけで判断すべからず
「理想の行動」に落とし込む
「この世代は小学校とは異なり、社会での自分の立ち位置が見えてきます。周りからどう評価されているか、テストの結果やSNSのいいね数など、自分でコントロールできない“結果”を非常に気にしています。こういった多感な時期だからこそ、周囲の大人は目標設定の本質を見誤ってはいけません。
スポーツの大会で優勝する、得点を取るといった“結果”の目標を立てただけで終えてしまうと、思うような結果に至らなかったときに、そのチャレンジが失敗のように見えてしまう。大事なのは理想の状態をつくるために、具体的にどうするかの“理想の行動”を見出すことです」
大事なのは結果ではなく、自らの行動レベルを一段上げるような行動を目標に設定するのだ。周囲の大人は、こういった行動を1つずつ落とし込んであげないといけない。その行動ができたかどうかで判断をする。そういう思考を持っておかないと、子どもは自己肯定感が低いままになってしまう。
「結果はわからないですが、やるべき行動を決めて、それが達成できたかで評価する。こういった肯定感を持てる環境づくりが、この世代には大切なんです。成長の評価基準をしっかり持つ。そう大人が整備してあげることが大事だと思います」
「NPO法人Compassion代表理事・伴 元裕氏に聞く(4)」に続きます。