「値上げに成功」しても株価がさえない
楽天の大誤算とは?

 楽天が携帯事業に参入した当時の予測では、楽天モバイルはもっと成功すると思われていました。理由は、他社の携帯料金が高すぎたからです。後発であるがゆえに基地局の普及では後れを取っていても、自前のネットワークを持ちながらも格安スマホと同レベルの料金を掲げる楽天モバイルは、長期的には他の携帯3社のユーザーを奪うはずだと考えられました。

 楽天モバイルにとって最大の誤算は、菅義偉前首相が肝いりで携帯3社に大幅な値下げを指示したことでした。他社の料金が月額6980円レベルなら楽天モバイルの料金は最低でも半額レベルだったところが、他社が軒並み2980円プランを出してしまったことで、楽天モバイルの価格訴求力がそがれてしまいました。

 そして「価格で動く」ユーザー層が2021年の1年間でほぼ各社の新プランに動いたことで、この後のブランドスイッチも簡単ではなくなった。2023年度内に楽天モバイルを単月黒字にするためには加入者数を増やすしかないのですが、それが難しくなったのは楽天グループにとっては大誤算もいいところで、ここからどう打破していくかが最大の課題でしょう。