アプリのインストールしすぎが、OSをダメにする!
寺田 『部下本』と比べて、横山さんが『マインド本』で一番訴えたかったことは何でしょうか?
横山 そうですね、OSが脆弱なままアプリケーションをインストールしても正常に動かないということです。昨今、企業を見ていても、個人を見ていても思うのは、高機能のアプリケーションをインストールしすぎなんじゃないか、ということです。
寺田 ああ、OSが弱いままにアプリケーションを。
横山 実のところ、OS自体は弱くない気がしています。
寺田 OS自体は弱くない?
横山 アプリケーションのインストールばかりやるから、OSだって壊れていくじゃないですか。変な化学反応を起こしたりして、結果的にOSも壊れていく気がします。
寺田 そうか。OSは脆弱じゃなくても、アプリを大量にインストールしすぎで。
横山 工場出荷時は別にみんな一緒ですから。みんな生まれたときは、過去も現在も一緒だと思うんです。だからインストールしすぎちゃってうまくいかなくなる。うまくいく方法ってもっと実はシンプルですし、普遍なものじゃないですか。別にいまの時代だから難しいとか、そんなことは全然ないんですよ。
なぜ、「インパクト×回数」の「回数」を重視するのか?
寺田 横山さんのやり方はいつも、非常に原始的ですよね。「インパクト×回数」の単純接触「回数」をいつも重視されています。
横山 そうですね。人が言っていることの8割は否定していますから(笑)。
寺田 ツールや方法論的なものを重視するのではなく、量的な回数を重視する。
横山 はい、そうです。こんなことを書いてしまうと、経済が発展しないと思うのですが、職業柄、無駄なものが世の中に多すぎると感じています。
寺田 どういうことですか?
横山 私は営業・マーケティングのコンサルタントです。いかにクライアント企業の売上・利益目標を達成させるか、そればかりを考えています。しかし、これだけモノがあふれている時代ですから、そう簡単に売れることはありません。
寺田 なるほど。
横山 ですから、モノでもサービスでも、もっともっと付加価値を高めていかないと売れないことが多いのです。そのためにどうすればいいか、企業努力が求められる時代となりました。一方、実際に消費者の立場からすると、別にこれ以上「よりよいモノ」がなくなってもいい。成功するためには、「いまよりよりよいモノや方法論」を探すより、多少モノが足りなくて不便であっても、もっと実際の体験の数を増やしたほうがいい。そういうことです。
寺田 だから回数を重視する、と。
横山 そうです。これ以上、シンプルにはできないと思います。ただの「回数」なのですから。