なぜか評判がいい「倍速管理」
寺田 それと評判がいいのが、意外にも「倍速管理」です。期限を2つ折りする、スケールテクニック、ワンツー確認、など魅力的なテクニックが並んでいますが、なぜ「倍速管理」の評判がいいのでしょう?一時は「倍速管理」自体、章項目から取っ払おうかという話もありました。野球でいえば、控え選手に甘んじる可能性もあったんですね。
横山 これは本当に評判いいですね。とくに「スケールテクニック」はいいと。
寺田 ここでのミソは、あと何日ある?という質問で、土日をカウントから除外していること。「ワンツー確認」も強力なツールです。上司と部下のコミュニケーション回数が自然と増えていくしくみですね。なぜ、このような脳に残るコピーを思い浮かべられたんでしょうか?
横山 「スケールテクニック」は、私が研修でやっている、「怒りとイライラの感情をコントロールするアンガーマネジメント講座」からきたコピーです。怒りのレベルを「定量化」する表現を「スケールテクニック」と呼びます。怒りのレベルって、現在どれくらのレベルで怒っているかというのは、その人の主観的なものですよね。でもそれを測ることによって、自分の感覚を数値表現できるので、客観的視しやすくなります。
寺田 ここは横山さんを語るうえで1つの大きなポイントですね。感情的なものをロジカルな、数値に加工して、再現性があるものに変えていく手法。
横山 はい。
寺田 「ワンツー確認」は、もともとアイデアにあったのですか?
横山 コミュニケーションの誤解を解くためには、必ず「質問」と「確認」が必要なんですね。これはNLPからヒントを得ました。
「自信をつけるのに、モチベーションは100%必要ない」はどこから?
寺田 なるほど。あと、オビコピーに「自信をつけるのに、モチベーションは100%必要ない」とありますが、モチベーションという「怪物」が働く人たちをどれくらい苦しめているのでしょうか。モチベーションがないと仕事できない、というような雰囲気ってありますよね。
横山 「モチベーション」という言葉を使う人、最近本当に多いです。使っていけないわけではないのですが、あまりにも誤解が多い。それはノイズや勘違いです。その勘違いをとってしまえばいいだけなんです。
寺田 編集部に寄せられる『マインド本』の読者ハガキを見ても、モチベーションへの記述が多いですね。読んだ人は目からウロコのようで、「そうか、モチベーションなんかなくても淡々とやれるんだ」という方が多いです。
横山 そうですよね。別に意味なんか考えなくても、意欲なんかわかなくても、できることなんていっぱいあるんです。「絶対達成」の発想は、「時間は未来から流れてくる」です。達成している未来から現在を眺めて初めて、自分がしてきたことの意味を理解する。そしてそのうえで意欲がアップする、ということなのですから。何も始めていない、何もやりきっていない状態で、モチベーションだの、有意味性だの考えていても、それは「思考ノイズ」にしかならない。そういうことなんですよね。