『週刊ダイヤモンド』6月18日号の第1特集は「歴史入門 世界史・日本史・戦争・民族」です。長期化するウクライナ侵攻、急激に進む世界的なインフレ……。国際情勢も経済も、不透明感が増す一方です。こんな局面では、「愚者は経験に学び、賢者は歴史に学ぶ」という警句通り、歴史から未来へのヒントを得ることが有効です。賢明でありたい全ての人に捧げる、歴史入門を一冊にまとめました。(ダイヤモンド編集部副編集長 杉本りうこ)
インフレはまだ続く
その理由は歴史にあり
「高くても買うのは、食べなきゃ死ぬからだ」
「暴動が起きなきゃ庶民が苦しんでるって分かんないの?」

日本銀行の黒田東彦総裁が「家計が値上げを受け入れている」と講演で述べたのを受け、SNS上にはこの発言に反発する書き込みが相次いだ。「#値上げ受け入れてません」というハッシュタグが一時、ツイッターのトレンド入りまでした。
「値上げを受け入れている」発言を巡っては国会でも、その意図を問う質問が続出。黒田総裁は衆院財務金融委員会で「家計は苦渋の選択として値上げを受け入れている。表現は適切ではなかった」と、発言の撤回に追い込まれた。
だが黒田総裁が発言を撤回したからといって、「値上げを受け入れてなんかいない」と思う人は、溜飲を下げている場合ではない。物の値段が上がるインフレ局面はこれからまだ進むことが、“歴史を踏まえれば”かなり確実なのだ。一体どういうことか。