厚生年金基金からの脱退や
厚生年金基金が解散した場合は要注意

 最初のパターンは、厚生年金基金からの脱退や厚生年金基金が解散した場合である。厚生年金基金というのは、かつて多くの企業によって実施されていた企業年金の一つで、国の厚生年金の一部を国に代わって運用・給付し、さらに独自の上乗せ給付を行っていた(現在はほとんどなくなっている)。

 かつてこの厚生年金に加入していた人が短期間で会社を辞めて脱退したり、企業そのものが厚生年金基金を解散したり脱退したりした場合、それまで積み立てられていた年金資金は「企業年金連合会」というところに「移換」される。

 その場合、国(日本年金機構)から支給される年金に加えて企業年金連合会からも支給される分があるわけだが、この請求を忘れている人は実に多く、令和2年度末時点で117万人もいるという。

 もちろん企業年金連合会は支給開始時期が来れば、「請求をしてください」という案内を送っているものの、それが届いていない先が65万件もある。

 これは結婚して姓が変わったり、何度も転職や引っ越しを繰り返して住所がわからなくなっていたりするからだ。この65万件を除く52万件にはきちんと届いているはずだが、それでも請求をしていないということなのである。

 これは実にもったいない話だ。せっかく長い間年金保険料を払ってきたのに、ちょっとした不注意で受け取れないままに放ってあるというのはあまりにも残念である。

 若い頃に勤めていた会社に厚生年金基金がなかったかどうか、そして自分の勤めていた会社の厚生年金基金が脱退や解散されていないかということは、確認しておいた方がよいだろう。

ちなみに、企業年金連合会のホームページには、その確認の方法も書いてある。
https://www.pfa.or.jp/nenkin/callcenter/index.html