資源高と円安で絶好調の商社業界。業界王座を奪還した三菱商事の決算は、新旧社長への配慮もにじむ余裕すら感じさせた。しかし資産の“質”を比べると、王者の難題が浮かび上がる。特集『決算書100本ノック!2022夏』(全21回)の#8では、4月に就任した中西勝也新社長が向き合うべき三菱商事の課題を、三大商社の決算分析から読み解く。(ダイヤモンド編集部副編集長 大矢博之)
商社4位転落から1年で王座を奪還
新旧社長に“配慮”する決算の余裕
「三菱商事はトップ奪還を確信していたのだろう。王者の余裕を感じた」
資源高と円安の影響で、各社が軒並み最高益を達成した、商社の2022年3月期決算。三菱商事の純利益は前期から5.4倍の9375億円となり、業界4位から1年で王座を奪還した。
競合の大手商社幹部が冒頭のように苦笑するのには理由がある。三菱商事の決算は単なる王座奪還だけでなく、“新旧社長への配慮”が感じられたからだ。
商社のエリートたちは決算書のどこを見て、表には出てこない三菱商事の社内の思惑を探ろうとしているのか。
次ページでは、三菱商事の新旧社長への配慮が浮かぶ決算書のある財務項目と、伊藤忠商事や三井物産との決算書の比較で浮き彫りになった王者の難題を解説する。