消費者金融大手のプロミスは1月28日、従業員の約3割にあたる1600人の人員を削減すると発表した。一方、企業再生支援機構の管理下で再編の進むJALでは15700人もの人員を削減数計画が持ち上がっている。今や企業は手ぐすねを引いて自主退職者を待っている状態だ。

 そんななか、リーマンショック前と比べて企業の対応がどれ程変わったかを表すデータがまた1つ明らかになった。

 リクルートエージェントは今年1月8日~11日、株式会社インテージと共同で、過去2年間に転職を経験した、全国の20、30代ビジネスパーソン1044人に「退職交渉に関する調査」(※1)を行った。

 全体のうち、リーマンショック前に会社を退職した人は全体の約7割、リーマンショック後に会社を退職した人は約3割。それぞれに「上司からの引き止め」の有無を尋ねたところ、リーマンショック前に退職した人の「引き止められ率」は66%だったのに対し、リーマンショック後は54%と12ポイントダウン。リーマンショックを境にして、会社側の慰留が減少していることがわかった。

 また、「引き止められた」と答えた653人に対し、「あなたが思う引き止められた理由(複数回答可)」を聞いた結果は、1位こそ「仕事内容・能力が評価されていたから」(59%)だったものの、続く結果は「退職すると他のメンバーに迷惑がかかるから」(2位・42%)、「ポストを埋めるための採用、異動にコストがかかるから」(3位・25%)、「退職すると上司の評価に影響するから」(5位・11%)など。“前向き”な慰留ばかりではない現実は、自ら退社を申し出るビジネスパーソンにとって頭の痛いところだろう。

 ただ、逆に言えば早期退職を募る企業もある一方で、退職を申し出たビジネスパーソンの半数以上が慰留されているともいえる。リーマンショック以降、転職を考えるビジネスパーソンは減少したと思われるが、この状況下で転職を考えるには能力に自信がなければできないことだろう。

 この他、退職希望日より遅れて退職した人の割合は、「引き止められなかった人」が14%だったのに対して、「引き止められた人」は35%と2倍以上の差。引き止めの有無が希望日通りに退職できるかどうかに影響している。退職交渉の際には、引き止めを考慮に入れ、早めに動くのが得策と言えるだろう。

(※1)管理職を除く正社員、会社の倒産・解雇などやむを得ない事情で転職した人を除く。

(プレスラボ 小川たまか)