組織のどんな用途に向いているか 

 もっとも、今回はゲーム会社のケースで考えるが、程度の差こそあれ、予測市場はほとんどすべての会社で利用する可能性がある。売上や需要や原材料価格の予測を必要としない会社は存在しないだろう。また、予測市場を行う副次的なメリットとして、組織内の情報流通を活性化するという目的もある。

 とはいえ、現時点で筆者が思いつく組織の利用の用途は、下記のような業界と予測テーマであろう。


1)ヒットの予測が難しいとされるコンテンツ業界での販売予測
 コンテンツ業界といっても広いが、映画、ゲーム、テレビ番組、玩具、書籍など、ヒットタイトルの予測が難しいとされる業界である。特に映画やゲームのように、コンテンツに対するネット上のユーザ・コミュニケーションを発生させることがプロモーションになるコンテンツは効果が高いだろう。
2)製造業における需要予測、材料やエネルギー価格の予測
 より精緻な在庫管理や需要計画によるコスト削減が期待される。
3)スポーツや興行におけるゲーム的コンテンツとして
 予測市場は継続的にサイトにアクセスする必要があるコンテンツである。予測テーマに対して継続的に関心を持ってもらうマーケティングツールとして活用できる。
4)ニュースサイトなどでのニュース予測
 選挙結果やノーベル賞や経済指標など、一般に関心を持たれ、結果発表のニュースバリューが高い出来事の予測は、ニュースに対する感度の高いユーザにとって関心を持たれるコンテンツになりうる。
 

 一般的な予測市場の予測対象になりうるテーマには、幾つかの条件がある。ひとつは客観的に確認できるデータが必要である。たとえば、「雪男は存在するか」といったテーマは、仮に雪男がヒマラヤ山脈の奥地に存在したとしても、誰も確認できないので予測するテーマとしては不適切である。

 一方、雪男が発見されればニュースになることが保証されているのであれば、「2013年中に雪男が発見されるか?」というテーマにして予測の対象とすることが可能である。