世の中のさまざまなしがらみから抜け出して「幸せな人生」を歩むために必要なものはなんだろう?
それは、「自信」だ。『幸せな自信の育て方 フランスの高校生が熱狂する「自分を好きになる」授業』(シャルル・ぺパン著、児島修訳)では、フランスの高校生から大絶賛される哲学教師が、「本当の自信の育て方」を教えてくれる。本書からその一部を特別に紹介しよう。
まずは「得意なこと」を伸ばす
私が教えている高校の生徒たちも、授業を通してさまざまな能力を身につけ、カリキュラムに従っていくつもの項目をマスターしていく。
高校の卒業証明書が取得できるバカロレア試験の時期が近づくと、まだ勉強していない項目がたくさんあるのではないかと不安になる生徒もいる。そして、私に講義をしてほしいと頼んできたり、授業であまり触れなかった項目に関する資料を配ってほしいと言ってきたりする。
だが私は、まずはすでに学んだ内容を復習し、得意な科目を強化することを勧める。心地よさを感じながら勉強をすることは、自信の一番の味方になるからだ。
まずは居心地の良い場所で自信をつけ、その後で新しい項目を勉強すればいい。
私は生徒たちに、コンフォートゾーンから外側の世界に足を踏み出すワルツを踊るように誘っているのだ。
能力の過信はしない
私は生徒たちに訓練の大切さを教えているが、同時に、技能を高めればそれだけで良い結果が得られるという考えを持つべきではないとも忠告している。
たとえば、バカロレアの試験も毎回内容が違う。だからどれだけ勉強しても、万全の準備を整えたということにはならない。
これは教師にとって、とても悩ましい問題だ。生徒の技能を磨く価値を教えつつ、同時に能力を過信してはいけないことも教えなければならないからだ。
結果が出せる学生の心構え
「どんな問題にも備えなければならない恐怖心」に駆り立てられて勉強をしている生徒は、本当の自信を手にすることができない。良い成績を収めることはあっても、常に自信がなく、いずれはつまずくことになる。
大きな試験の当日、予想外の問題が1問でもあるとパニックになりやすい。自分の学力ばかりを頼りにして、自分自身に自信を持っていないからだ。
一方で、良い成績をとることだけで頭をいっぱいにせず、「発見の精神」で勉強に取り組む生徒もいる。完璧な準備にこだわらず、新しいことを試し、挑戦する。無理に自分を安心させようとはせず、喜びを感じながら創造的に勉強する。
試験の内容を予想するときも、その声からは楽しさが感じられ、好奇心が不安に勝っているのがわかる。
他の生徒が試験で想定外の問題が出ることに恐れを感じているなかで、試験を楽しもうとしている。
どんな問題が出されても、対処しようとする心構えができている。人生で予想外の出来事が起こるのは当然だと理解しているのだ。
[本記事は『幸せな自信の育て方』(シャルル・ぺパン著、児島修訳)を抜粋、編集して掲載しています]