業績が良ければ必ず株価が上がるわけではない

――お話を聞いていると、チャートだけを見て冷静に判断することが大事なように感じるんですが、決算で企業を分析したりすることはないのですか?

窪田:もちろんチャートだけを見るわけではありません。私はよく「右脳・左脳」と表現しているんですが、チャートを見て直感で判断するのは右脳の判断です。

 一方、財務諸表や決算、株価のバリエーションなどを見て、論理的に考えていくのは左脳の判断です。

 左脳は言わばアナリストです。私がファンドマネジャーだった時には、アナリストとして「これは買いだ」と思っている銘柄を常に100以上は抱えていました。

 そして、その100個の銘柄のチャートを一つずつ見ていって、右脳の判断で「○、×、△」をつけていくんです。

 アナリストとしての自分がいいと思っている銘柄でも、チャートに「×」がついていたら短期的には売った方がいい。業績がいい銘柄だって、下がることは当然ありますから。

 左脳の自分がいいと思っている銘柄のチャートに「○」がつけば、当然買います。そうやって右脳と左脳の両方の判断が加味されていることが大切です。

――ちょっと気になったのですが、もし左脳のアナリストは「良くない」と判断しているのに、右脳のチャートでは「○」がついている場合はどうするんですか?

窪田:その場合はとりあえず買って、チャートを見続けます。チャートの形が良ければ、短期的には上がる可能性が高いという判断です。もし、その後株価が下がっていくようであれば、すぐに売ればいいだけです。

――チャートの動きをまずは重要視するんですね。

窪田:短期的にはそうです。『株トレ』にも書いたんですが、チャートで「売る」というのは、どこかのビルの階段を登っている時、何だかわからないけど、上から大量の人が「恐怖の表情」を浮かべて駆け下りてくるようなイメージです。

 そんなシーンに直面したら、原因がまったくわからなくても、とりあえず一緒に階段を降りるでしょう。わけがわからなくても、何かしらの危険が迫っていて、一緒に降りたほうがいいことは判断できますよね。言わば、それがチャートです。

 長期的にはわかりませんが、短期的にいい流れが来たら、いち早くそれに気づいて、それに乗っていく。反対に悪い流れが来たら、こちらもいち早く損切りをする。とてもシンプルな話です。

株で大損してしまう人に共通する「1つの特徴」