写真:配送用ドローンのイメージ写真はイメージです Photo:PIXTA

ついに米アマゾン・ドット・コムによる一般向けドローン配送サービスが、米国の一部地域で年内に始まるという。世界では配送だけでなく、テロ対策や危険エリアの視察などでも活用事例が相次いでいる。片や日本はドローンに対する規制が厳しく、その潮流から取り残されている。事なかれ主義でドローンを拒み続けていては、日本は取り返しのつかない末路を迎えることになるだろう。(イトモス研究所所長 小倉健一)

アマゾンがドローン配送を開始へ
戦争や暗殺のためだけの道具ではない

 今年に入っての「ドローンの大活躍」は、戦争や暗殺など物騒なことばかりが注目されている。

 日本でも首相官邸の屋上にドローンが突入したことを記憶している人がいるかもしれないが、米国でも大統領のいるホワイトハウスにドローンが迷い込んだことがある。大統領専用機とニアミスしたことすらある。

 特に日本では、「ドローンは悪いことをする」イメージばかりが先行してしまったようで、おもちゃに近いドローンに対しても、厳しい規制がされている。

 とはいうものの、ドローンは非常に便利な道具でもある。そして、安価だ。

 犯罪を防止したり、荷物を運んだり、災害などで人間がいけないところへの監視・視察ができる。そのように海外では、社会をよりよくするために活躍をしている。農業、橋梁やダム、石油・ガス施設などのインフラのチェック、配送業務、ビル清掃など、産業によってはドローンの活用で業務効率が飛躍的に向上することが分かっている。

 このため世界中では産業用ドローンの規制は緩めになっており、一部の重要施設以外では飛行させられるようになっている。おもちゃのドローンも産業用ドローンも一緒くたに、ほとんどのエリアで禁止している日本とは大違いだ。

 例えば米アマゾン・ドット・コムは、ドローンによる配達サービス「Prime Air」を今年後半に開始すると発表した。サクラメントに近いカリフォルニア州ロックフォードで、約3000人の顧客向けにスタートする。何千もの日用品で無料のドローン配送を受けるオプションがあるのだという。

 そこで、アマゾンのドローン配送サービスの詳細をお伝えするとともに、世界でのドローン活用の進展度合いをご紹介しよう。また、それと比較したときの日本の危機的状況に対して、専門家の指摘を交えながら問題提起をしたい。