逆に言えば、親が就活に関して子にできるアドバイスはその一点に限られます。大学生とはいえ、20歳を過ぎた一人前の大人なのです。その大人に「こうしなさい」という「お説教」は必要ないのです。
もちろん、子からアドバイスを求められたら答えてあげればいいでしょうし、そのときこそ前述のような話をしてほしいのです。もしかしたら父や母のちょっと格好悪い部分を話すことになるかもしれませんが、それこそが働くということです。何も恥ずかしいことではありません。
これからが本当のチャンス!
会社を探すときに注意すべきこと
そして、今内定がない23年卒の就活生にとっては、ここからが本当に自分に合う会社と出会えるチャンスです。その際に、会社の規模や知名度に囚われず、その会社が何をしているのかを見る必要があります。小さな超優良企業は採用人数そのものが少ない分、就活生に見つけてもらいにくいです。あなたの知らないことをしている、そして本当はあなたに向いている会社はゴマンとあります。
学生は身近な製品、たとえば食品や電気製品、IT機器、テレビ番組、出版物など、そして大きいものではビルや建造物などの成果物に目が行きがちです。しかし、それが現在の形になるまでには数え切れないほどの工程があり、数え切れないほど多くの人が関わっています。その工程の数だけの仕事、関わる人の数だけの仕事があるということなのです。
あるいはそれと似た話ですが、実際に世の中にある企業は約8割が、企業に対してものを売るB to B企業だと言われています。就活生は消費財などを一般消費者に売る、B to C企業に興味が偏りがちです。つまり、世の中にある企業の約2割のうちの、さらに微々たる割合の企業しか見ていないことになります。
どうしても最初は、好感度が高く、CMを流し、よく目にする会社に興味がわきますが、そのイメージだけに憧れて入社すると現実は厳しかったりします。企業は営利団体です。商品やサービスが提供されるときには、必ずお金のやりとりが発生し、お金の流れがあるということを意識してください。その中に仕事の厳しさがあるのだと。
(ダイヤモンド・ヒューマンリソース HD首都圏営業局 局長 福重敦士、構成/ライター 奥田由意)