胃がんは3年毎の内視鏡検査で早期発見を

 胃がん検診の多くは、胃部X線検査(バリウム検査)です。自治体や職場の健康診断で多く行われている胃がん検診ですが、バリウム検査によるX線画像と内視鏡による画像を比べると、やはり後者の画像の鮮明さが際立ちます。

 かつて国立がん研究センターに在籍し、がん検診のガイドラインを作成した帝京大学の濱島ちさと先生の調査によれば、3年間に1回でも内視鏡検査をした場合の胃がんによる死亡減少効果は30%とのことです。

 胃がんは内視鏡検査で早期のうちに発見し、治療するのがベストです。胃がんに限らず、消化管のがんの早期発見のメリットは、治療が外科手術になるか、内視鏡手術になるかの違いに尽きます。外科手術になると、胃の大部分、あるいは全部を摘出しなければならなくなり、術後生活にも影響を与えます。 

 一方、早期に発見できれば、内視鏡による治療で済むことが多く、後遺症もほとんどなくてすみます。

 無症状なのに内視鏡がん検診を受けることに抵抗を覚える人もいるかもしれません。しかし、早期がんには、症状はありません。自覚症状が出た段階では、もはや早期がんとはいえなくなってしまうのです。

 小野先生は現時点ではできれば毎年、少なくとも3年または5年に1回、節目の年の受診を推奨しています。前述しました濱島先生の調査でも、3年に1回の検診の効果は絶大です。40歳を過ぎた頃から、45歳、50歳といった節目で定期的に検診を受けるようにしたいものです。

 ピロリ菌の感染者減少と内視鏡がん検診、医学・医療技術の進歩により、5大がんから胃がんが外される日も近い将来訪れるかもしれません。